千葉県のお米の産出額は728億円で全国8位である。上位をみると、新潟県、北海道、秋田県と全国有数の米どころが並び、それぞれ「コシヒカリ」「ゆめぴりか」「あきたこまち」など有名銘柄を持つが、温暖な気候や豊かな水資源を有する千葉県産米も味はお墨付きだ。
千葉県産「コシヒカリ」は、お米の味を評価する令和元年産米食味ランキング(日本穀物検定協会)で6年ぶりに最高評価「特A」を獲得した。主力品種の「コシヒカリ」以外にも、もっちりとした粘りがある「ふさこがね」、あっさりとした食味の「ふさおとめ」が主に栽培されており、産地の気候や風土を生かして育てられた「多古米」(多古町)、「長狭米」(鴨川市)は、ご当地米として人気が高い。
もっとも、米の1人当たりの消費量は、食生活やライフスタイルの変化などを背景に減少傾向が続いている。各産地では、農家の収入増を狙ったブランド米や、地球温暖化に対応した高温や病気に強い品種など、立地・気候条件に合った新品種の開発が加速しており、農林水産省に登録されている令和2年産米の産地品種銘柄数は前年(824)から45増加し869にのぼる。
いよいよ今秋には、県が13年かけて開発した新品種「粒すけ」が本格デビューする。愛称には、「自分の子供のように愛着をもってほしい」という思いが込められ、大粒で程良い粘りと弾力、いろいろな料理に合うオールマイティーな食感が特徴である。
県内農家は、昨秋の記録的な台風や大雨により甚大な被害を被ったが、稲の茎が短く風雨で倒れにくいため安定生産できる点は農家にとってはリスク軽減にもつながりそうだ。
千葉県は、関東で最も早く収穫が始まる早場米の産地でもあり、8月には収穫が始まって新米の季節がやってくる。コロナ禍で、自宅で食事をする機会が増える中、新顔の「粒すけ」も含めて県内のさまざまな品種を食べ比べ、自分好みの味を見つけてみてはどうだろうか。(寄稿、随時掲載)