仏競歩・ヨアン・ディニ選手「五輪は最後の舞台。無観客でも出る」





産経新聞と会見する競歩50キロ仏代表のディニ選手(三井美奈撮影)

 来年の東京五輪に向け、男子50キロ競歩の世界記録保持者、フランス人のヨアン・ディニ選手(42)が産経新聞のインタビューに応じた。東京五輪を最後に引退する意向を表明するとともに、「五輪が無観客になっても私は出たい」と意欲を示した。(聞き手 三井美奈)

 -東京五輪への思いは

 「私にとって最後の試合になる。非常に重要だ。絶対に勝ちたい。東京の後はない。私は世界選手権で金メダルをとり、世界記録を持っているが、国を背負う五輪はまったく次元が違う」

 「日本は特別な国でもある。私が初めて世界の舞台で成果を出した国だ。東京で最初の五輪メダル、そして選手生活を締めくくる最後のメダルをとりたい。私は42歳で、疲労もある。2024年のパリ五輪には、たとえ出場権を獲得しても出ない」

 -東京五輪への準備は

 「今年11月にポルトガルに渡航し、トレーニングを開始する予定だ。高温多湿や強い紫外線を再現できる施設があり、そこで来年3月まで調整を行う。東京五輪の延期が決まり、年内は試合もないため、昨年10月にポルトガルで始めた五輪用の練習を中断し、秋まで休養をとることにした」

 「東京五輪では、高温多湿の環境に慣れることが最大の課題。昨年、カタール・ドーハで行われた世界選手権では猛暑に対応できず、備えのあった日本人(金メダルを獲得した鈴木雄介)に負けた。07年の世界大阪大会でも、湿度と暑さへの調整が大変だった」

 -五輪延期決定の影響は

 「私にとっては、よい決定。100%の状態へと高める準備ができる。新型コロナウイルスでフランスは5月まで約2カ月間、外出禁止令が出て、私は自宅で筋トレをするだけだった」

 「私は東京五輪の出場資格を得たが、新型コロナで試合が延期か中止になり、仏陸上選手団の半分は未決定。試合が長期間行われないのは、選手には重荷だ。最善の状態に回復するのに、短期集中で調整が必要になる」

 -日本入りの計画は

 「五輪競歩の会場となる札幌に2週間前には入り、気候や時差に体を慣らしたい。まだ、新型コロナのワクチンは製造されていないが、私はそんなに恐れていない。万全の備えをしてくれると思っている。早めに選手団が日本入りして感染検査や隔離措置をとったり、訪日する人数を制限したりなど、いろんな対策ができるのではないか。五輪が無観客になっても、私はぜひ出たい。すでに東京五輪用の競歩靴も注文した。練習用も含めて15足あり、これで大舞台に臨むつもりだ」

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 ヨアン・ディニ 23歳で競歩競技を開始。2007年、世界選手権の大阪大会で銀メダル獲得。14年、3時間32分33秒の世界記録を樹立。



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