経済同友会は29日、国内の電源構成について、令和12(2030)年時点に太陽光や風力発電など再生可能エネルギー比率を40%へ引き上げるべきだとしたエネルギー政策の提言を発表した。平成30年度の再生エネ比率は17%だったほか、政府の目標でも令和12年時点では22~24%となっている中、非常に高い数値を設定した。
気候変動に対する危機感が世界中で高まり、日本政府も12年に、原子力発電と再生エネを合計したゼロ・エミッション電源比率44%を目標に掲げている。
しかし、同友会では原発は再稼働が進まず、平成30年度時点でも電源比率は6%であると同時に、稼働申請中の原発がすべて再稼働するとの仮定でも、令和12年には15%にとどまると分析。そのため、再生エネ目標を引き上げなければ、ゼロ・エミ電源目標は達成できないとし、再生エネ目標を40%に引き上げた。
このために、太陽光発電のコスト削減のため、オフィスや工場などの土地造成が不要な場所での拡大や、洋上風力発電などで、許認可の規制緩和を進め、大規模化させることで、新規参入事業者を増やすことなどを求めた。
提言を取りまとめた石村和彦副代表幹事(AGC取締役)は「新型コロナウイルス感染拡大で、世界の物流が途絶したことを考えれば、エネルギー源を海外に頼る日本としては、安全保障面を考慮しなくてはならず、その意味でも再生エネの重要性は高まる」と、比率引き上げの意義を強調した。