【主張】李登輝氏死去 自由と民主の遺志次代へ

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 台湾の李登輝元総統が97歳の生涯を閉じた。

 「民主化の父」として知られ、戦後の台湾を独裁支配した中国大陸由来の国民党政権を、6回の憲法改正などで内側から改革した。心から哀悼の意を表すとともに、満身の力を込めて自由と民主主義を守った強固な意志を次代につなぎたい。

 親日家としても知られ、流暢(りゅうちょう)な日本語で日本の人々にも親しまれた。その姿は忘れられない。

 国民党政権が戦後、台湾で行ってきた反日教育をやめさせたのは、2000年まで12年間、総統を務めた李氏だ。日本統治時代の台湾で進んだ教育制度や衛生観念の普及、インフラ整備といった史実を再評価し、新たな歴史教科書を編纂(へんさん)して教育改革を行った。

 李氏の改革がなければ、中国や韓国にも似た反日世論が、台湾になおも残っていた恐れがある。李氏の功績を日本政府は認め、いまからでも叙勲を検討すべきだ。

 日本統治時代の大正12(1923)年に台湾で生まれ、旧制台北高から京都帝大(現京大)に進んだ李氏は、学徒出陣を経て、旧日本軍の陸軍少尉の立場で終戦を迎えている。日本人の良さも悪さも知り尽くしている人物だった。

 アジア民主主義の政治リーダーとして強い存在感を示し続けてきただけに、「李登輝なき台湾」の行方が気になる。

 現在の蔡英文政権は、李氏が敷いた民主化路線の延長線上を走っている。だが、台湾を自国領と主張して圧力をかけ続けた中国の習近平指導部が、国家安全維持法施行で香港の「一国二制度」を形骸化させたのに続き台湾に照準を当てることは容易に想像できる。

 対米関係の急激な悪化と経済の混乱、新型コロナウイルス禍など、山積する国内問題を対外問題にすり替えるのは中国共産党の常套(じょうとう)手段である。

 日本の本州から九州、沖縄、台湾からフィリピンへと連なる西太平洋の民主主義による「第一列島線」に包囲されている中国は、突破口がいますぐにでも欲しい。

 地政学上、台湾のすぐ隣に位置し、互いに中国の脅威にさらされ続ける日本が、民主主義陣営として改めて台湾との確固たる信頼関係を示すべきときではないか。

 コロナ禍ではあるが、葬儀に日本政府は、弔問のための要人派遣を検討すべきだ。日本は最大限の誠意をみせねばならない。

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