【記者発】聴けば、見えてくる 外信部・時吉達也

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銀座で行われるお笑いライブ「タイタンライブ」のトークコーナーに登場した(右から)神田伯山、渡辺正行、太田光、田中裕二=東京都内

銀座で行われるお笑いライブ「タイタンライブ」のトークコーナーに登場した(右から)神田伯山、渡辺正行、太田光、田中裕二=東京都内

 ラジオが好きだ。

 先日、久々に会った父親と食事していたところ、今を時めく人気講談師・神田伯山(はくざん)に互いに夢中になっていることを知り、話が盛り上がった。趣味が一致することなどめったにないので不思議だったのだが、さらに驚かされたのは「ラジオ、イチから聴き直しているんだよ」という父の言葉だった。2017年から放送されているラジオ番組「問わず語りの神田伯山」はバックナンバーが初回分から公開されており、3年分の放送をさかのぼって聴いているのだという。まさか、30歳年上の父が自分と全く同じことをしているとは。世代を超え愛されるラジオの力を実感した。

 私にとってラジオは余暇の息抜きであるだけでなく、仕事の重要なツールでもある。取材を担当する韓国では、ニュースの渦中の人物がしばしば番組に生出演し、発言が速報されるのだ。

 不正入学などの疑惑が報じられた●国(チョ・グク)前法相の娘や、元慰安婦から告発された支援団体元代表の尹美香(ユン・ミヒャン)氏も肉声で持論を展開した。パーソナリティーと一対一で向き合い、余裕をもって話ができるラジオ番組の形式が、会見やテレビに比べて出演のハードルを下げているのかもしれない。

 去る7月3日、この日は休暇中の司会者の代役として、大物政治家が時事番組の進行を務めた。「普段、他人の質問に答えることしかできない恨みをすっきり晴らしてみせます!」。軽口をたたいて番組をスタートさせたのは、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長だった。元秘書へのセクハラで告発され、自殺する1週間前のことだ。

 ユーチューブでも生中継され、台本を手にたどたどしくも懸命に番組を進行する姿はどこかほほえましかった。人柄が垣間見えたからこそ、後に発覚した「裏の顔」との落差は大きく、韓国社会の動揺ぶりを理解するのにも役立った。ラジオを聴いていると、ニュースの見え方が変わる。そんなことを思った。

 そういえば、この番組には昨年、先輩記者の黒田勝弘元ソウル支局長も出演し、韓国語で激論を交わしていた。プロの話し手と、生放送で電話ごしに「ケンカ」するというのは、正直自分の語学力では心もとない。深夜ラジオばかりにうつつを抜かしていないで、勉強しなければ。

【プロフィル】時吉達也

 3年間の韓国留学を経て平成19年入社。社会部で裁判・検察取材を担当し、28年から外信部。平昌五輪や南北・米朝首脳会談を現地で取材した。

●=恵の心を日に

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