元慰安婦施設の運営法人、寄付金7億9000万円の大半を不正流用…官民調査団

【ソウル=豊浦潤一】元慰安婦が共同生活する民間施設「ナヌムの家」(京畿道広州市)について、京畿道の官民合同調査団は11日、施設を運営する社会福祉法人が2015年から5年間に集めた寄付金の大半を不正流用していたと発表した。元慰安婦の福祉を建前にした資金集めが常態化していた実態が裏付けられ、韓国社会に「大きな失望と衝撃」(聯合ニュース)を与えている。

ナヌムの家を巡っては、職員が5月、運営法人による寄付金の流用を告発していた。調査団によると、5年間に集まった約88億ウォン(約7億9000万円)のうち、実際に元慰安婦が暮らす施設に充てられたのは2・3%にあたる約2億ウォンに過ぎなかった。その2億ウォンも、ほとんどが元慰安婦のために直接使われず、施設運営のための間接経費として支出された。

残りの約86億ウォンは、運営法人の資産としての土地購入費などに充てられたほか、元慰安婦の死後、新たに始める療養院などの建設資金として貯蓄されたとみられるという。ナヌムの家はホームページなどで「元慰安婦の生活、福祉、証言活動」のための寄付金を呼びかけていた。

運営法人は、寄付金を施設ではなく法人の口座に振り込ませた上、一定額以上の寄付を集める際に義務づけられた行政機関への登録もせず、監査を免れていた。京畿道は今後、警察に捜査を依頼するほか、運営法人を行政処分する方針だ。

ナヌムの家は1992年に設立され、同名の社会福祉法人が運営する。現在は平均年齢95歳の元慰安婦5人が暮らしている。