米国や日本を含む8カ国が月で得た資源の所有や利用に関する基本原則についてまとめた合意案にまもなく署名する予定だ。
読売新聞は8カ国が「アルテミス合意」に近く署名する方針を固めたと11日、報じた。アルテミス合意は月で鉱物質を採掘する問題についての国際法的な基本原則で、今年5月、トランプ政府が推進を発表して米国航空宇宙局(NASA)が名付けた。「アルテミス」は米国が2024年を目標に準備を進めている月再着陸計画の名称でもある。
「アルテミス合意」では平和的目的で宇宙活動を行うことや、自国の政策・計画・科学的データなどの透明性の確保などの原則が盛り込まれるものとみられる。宇宙で同盟を構築しようとする試みだ。
また、月で採掘した資源は掘った企業がこれを所有できるようにする国際法体系を提供する。米国は2015年宇宙で採掘した資源は採掘企業に所有権を持たせる国内法を制定したが、国際社会にはまだこのような法がない。
当初、2024年までに米国宇宙飛行士を月の南極に着陸させる、いわゆる「アルテミス計画」を遂行するために法的拘束力のある協定の締結が検討されたが、米国側が11月の大統領選前の策定にこだわったため当面は法的拘束力のない政治的宣言にとどまることになったと読売は伝えた。
トランプ政府と他の宇宙旅行国家は月を宇宙における重要な戦略的資産とみている。月表面の「ヘリウム3」という元素が人類のエネルギー難を解決する代案として浮上しながらだ。月には100万トン分のヘリウム3があると知られている。ヘリウム3の1グラムの熱量は石炭40トンに相当する。
これとあわせて宇宙崛起を目標に掲げている中国に米国が刺激を受け、宇宙空間をめぐる米国と中国の覇権争いも激化している様相だ。
読売の報道によると、日本政府はアルテミス計画を通じて日本人宇宙飛行士を初めて月に降り立たせ、民間企業の月資源探査を後押しする予定だ。
「アルテミス合意」には、米国の呼びかけで、日本のほかカナダ、英国、イタリア、オーストラリア、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦(UAE)などが参加している。