政府の観光支援策「Go Toトラベル」を巡り、大手宿泊予約サイトで割引上限額を引き下げる動きが相次いでいる。10月から東京が割引対象となったことから利用者が急増し、国から各社に配分された予算が少なくなってきたことが原因と見られる。
1人1泊当たりの割引上限額を引き下げたのは、じゃらん▽一休・com▽ヤフートラベル。従来は最大「1万4000円」の割引だったが、10月10日以降に予約した旅行からは最大「3500円」まで引き下げた。9日に各社のホームページで一斉に公表された。
Go Toトラベルの予算について、国は各社の前年度の販売実績などに基づいて配分している。ヤフートラベルの広報担当者は「割り当てられた予算を鑑みたとき、割引上限額を引き下げた方がより多くの人に利用してもらえると判断した。予算は枯渇しているわけではないが、そういう可能性も出てきた」と説明する。
一方、Go Toトラベルの事務局は「1万4000円は最大の割引額なので、引き下げることに問題はない」としている。
Go Toトラベル全体の予算額は約1・3兆円。観光庁によると、事業を開始した7月22日から9月15日までに割引支援額にあてたのは約735億円(速報値)にとどまっている。ある宿泊予約サイトの関係者は「一旦、割引額を引き下げないとまずい状況になってきたということだ。(追加の予算があれば)すぐに上限額が元に戻る可能性もある」と明かした。【小坂剛志】