16日、日本学術会議の会員候補の任命拒否を巡る菅義偉首相と梶田隆章会長の初会談は、平行線に終わった。首相は判断を変えるつもりはないが、対話の窓を開いている姿勢を世論にアピールすることで「強権的」「説明不足」との批判をかわす狙いがあるとみられる。ただ、一連の対応は内閣支持率に影響しており、与党内からは不満も漏れ始めた。
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会談後、記者団の取材要請に応じた首相。梶田氏から「未来志向で学術会議の在り方を政府と共に考えたい」との提案を受けたと明かし、「コミュニケーションを取り、進めていくことで合意した」と強調してみせた。
任命拒否問題に加え、学術会議を「行政改革の対象」に据え、約10億円の国費支出などの妥当性を検証していくと畳み掛けたこともあり、衝撃は広がっている。トップ会談はさらなる火種になりかねないとの見方もあったが、首相は「こそこそして対話を避ければ『逃げ』と見られ、世論に負のイメージを与えてしまう」(周辺)として、梶田氏の申し入れに応じた。政府関係者はもう一つの側面を解説する。「長引かせたくない官邸にとって、学術会議側を懐柔し、全面対決回避を演出する会談だ」