日本の国際法専門家も「被害者中心、人権の視点から強制動員の解決探るべき」


 「過去の不正義な行為に対する被害者中心のアプローチは国際的な流れ。強制動員問題を人権の視点から認識し、当事者の声を大切にすることで、韓日が共同で解決策を探るべきだ」

 日本の国際法の専門家で明治学院大学教授(国際学)の阿部浩己さん(62)は、30日に強制動員賠償についての韓国最高裁判決2周年を前に、29日に行われたハンギョレとの電子メールインタビューで、「最近の国際法の流れは国家ではなく個人の権利、被害をどのように賠償していくのかという方向へと大きく転換している」として、このように述べた。阿部教授は「1965年の韓日請求権協定で強制動員問題は解決されていない」とし「何の措置も取らない今の状況は国際法に違反している」と指摘した。

-2018年10月30日に出た韓国最高裁判決をどう評価するか。
 「韓日関係だけでなく、東アジアの秩序を平和的かつ持続可能なものとするためには、過去の不正義な行為、特に植民地時代に発生した問題としっかり向き合わなければならない。韓国の最高裁判決は、人間の尊厳を最優先とすべきだということを法律的観点から示したということで、格別な意義がある」

-日本政府は強制動員問題が1965年の韓日請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」とし、韓国が国際法に違反していると主張している。

 「私の知る限り、1990年代には日本政府や裁判所で強制徴用訴訟をめぐり、『国際法違反』や『請求権協定で解決済み』との主張が争点になったことはない。協定があっても国家の権利(外交保護権)だけが放棄され、個人請求権は残っているというのが日本政府の一貫した主張だった。被害者たちが積極的に訴訟を開始した理由はここにある。また、被害者との和解事例が出るなど、企業も自らが行った不当な行為を認め、必要な補償を行うべきだという自負もあった。しかし2000年代になって日本政府は立場を変えた。個人請求権は認めるものの(協定で解決済みなので)、これに応じる義務はなく、裁判は成立しえないとした。1990年代の日本の『戦後補償裁判』において、原告に有利な判断が出ていたことなどが影響したとみられる。今は亡くなった新見隆弁護士の言葉を引用すると、日本政府が一貫して維持しているのは、『責任を認めない没主体性』だと思う」

-日本で韓国、中国などの強制動員被害者裁判が多くあった。日本の最高裁判所はどう判断したのか。

 「最高裁は2007年4月、太平洋戦争に強制動員された中国人労働者が西松建設を相手取って起こした訴訟で、損害賠償を認めなかった。個人請求権という実体的な権利はあるものの、(戦争賠償請求を放棄するという1972年の日中共同声明などを根拠に)裁判に訴えることはできないと判断した。しかし、裁判所の判断は日本政府の立場と必ずしも重なるわけではない。裁判所は請求権の実体的権利を強調し、裁判ではなく別のやり方でこの問題に向き合うようにとのメッセージも送っている。実際に、この裁判をきっかけとして西松建設は被害者と和解した」(※西松建設は2009年10月に謝罪を表明し、360人の被害者に対する補償、記念碑建立などを行った)

-西松建設と異なり、企業と和解もできず、日本で裁判も受けられない強制労働被害者の方が多いと思う。むしろ最高裁が裁判を受ける権利を阻んでいるように思われる。

 「不正な行為に対して裁判で訴える権利が阻まれたのは事実だ。日本と韓国が締結している国際人権規約(日本は1979年、韓国は1990年に批准)が保障する「裁判を受ける権利」の視点から見れば、深刻な問題が発生する。裁判を受けられなければ、補償などの代替措置を取るのが国際人権法上の義務だ。何の措置も取っていない今の状況が、むしろ国際法に違反しているのだ。こうした面で、韓国の最高裁判決は、個人請求権の実体的権利も認め、裁判に訴える道を開いたため、国際人権法に沿った判断だと思う」

-強制動員被害者問題をめぐり韓日の間では国際法が争点になっている。最近の国際法の流れはどうなっているか。

 「15世紀ヨーロッパを起点として始まった国際法の世界化は、常に強者優先だった。植民地支配が公然と認められてきたという事実がこれを如実に示している。しかし第2次世界大戦後、国際社会に『人権』理念が拡散するにつれて変わり始めた。最近の国際法、国際社会は、人権を中心として法秩序を樹立していくべきという考えを強くしている。国ではなく個人の権利、被害を受けた人々にどう補償していくかという方向へと大きく転換している。人権が掲げる『普遍性』は、国境だけでなく、時間の壁を越えた過去から現在に至る不正行為との対峙が避けられなくなった。ここで大きな力を発揮するのが被害の記憶だ。大国中心の国際法のせいで沈黙を強いられてきた『被害の記憶』が徐々に姿を現しつつある。これらの被害者の声が、再び人権を強化する方向へと国際法の変化を促す好循環が起こっているわけだ。被害者中心のアプローチは国際的な流れだ」

-人権が強調されるようになったことで、韓国のように歴史問題と闘う例が多いと思うが。
 「被害者が人権を掲げて闘う事例は世界各地で見られる。ケニアのマウマウの人々が植民地支配下で受けた拷問、ナミビアの先住民虐殺、カリブ海の奴隷制などが代表的だ。日本国内でも強制編入された北海道のアイヌ民族の人々の権利回復、沖縄の琉球王国の人々が国際人権法上の自己決定権を掲げて日本政府に異議を申し立てている」(※英国は、1950年代のケニアのマウマウ蜂起の過程でケニア人を殺害・拷問した事実を認め、2013年に謝罪を表明するとともに、被害者に賠償金の名目で1990万ポンド(約312億ウォン)を支給した。ドイツは1900年代初めのナミビア先住民の集団虐殺について謝罪の方針を明らかにしたものの、賠償などで折り合いがつかず、決着がついていない。カリブ海の国々で構成されるカリブ共同体14カ国は、17~19世紀の奴隷制に関与した国家と企業に対し、謝罪と賠償を求めている)

-国際社会の流れは変わりつつあるが、韓日関係は55年前の韓日請求権協定にとどまっている。

 「見てのとおり、1965年の韓日請求権協定は強制動員問題を解決できていない。これは日本軍『慰安婦』被害がそうであるように、日本が法的・歴史的責任を負わなければならない。強制動員問題は、国際法の流れを牽引している国際人権法に沿うべきだ。過去の不正行為を人権の視点から認識し、当事者の声を大切にしつつ、両国が協力して問題を解決しなければならない。企業が解決する意思があれば、日本政府は邪魔するのではなく、むしろ促すべきだ。最高裁の判決に真っ向から立ち向かっている現状は、日本企業の手足を縛っているのと同様だ。謝罪、損害賠償、再発防止措置など、日本がアジアの隣国に民主主義国家として認められるためには、この問題に対する法的・歴史的責任を果たさなければならない」

-強制動員被害者問題の解決のために、韓国と日本の政府に提言するとしたら?
 「韓国と日本が国連人権理事会傘下の『真実、正義、賠償、再発防止特別報告者』から国際人権法に沿った助言を求め、それをもとに妥当な方策を探ってみることを勧める。2015年の日本軍『慰安婦』合意にみられるように、韓日両国の政策決定権者のみが納得しても問題解決は難しい。普遍妥当な人権の視点から、強制動員被害者問題の解決を探るべきだ。こうした韓日の動きは、東アジアの新たな未来を作る礎となるだろう」
キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )



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