2020年に16年間所属した大手事務所から独立し、フリーランスとなった女優の福田沙紀さん(34)が、昨年配信アプリ・BUMPのドラマ『大人に恋はムズカシイ』で監督デビューを果たしました。これまで数々のドラマや映画で主役を務めてきた福田さんが、なぜ演出を手がけることになったのか、そして女優業への思いと彼女が描く未来について、その胸の内を語りました。
監督業への漠然とした想い
福田沙紀さんは、長年抱いていた監督業への漠然とした憧れを明かします。「作品作りがとても好きなので、昔から役者として撮影現場にいながら、監督やカメラ、照明などスタッフさんの動きをずっと観察していました」と語り、20歳頃からは「いつかは自分の作品を撮ってみたい」という気持ちがあったものの、「私には撮れないだろう」と具体的な構想までは考えていなかったといいます。現場での観察が、彼女の中に演出への種を蒔いていたのです。
独立、そして監督デビューの経緯
フリーランスになったきっかけは、必ずしも監督業への意欲の高まりだけではなかったと福田さんは振り返ります。「まったくそんな余裕はなく、制作については新人のつもりでイチから学んでいこうという気持ちでした」と述べます。偶然、BUMPで仕事をしている知人との会話の中で、「スタッフとして入ってみたい」と話したところ、「何を勉強したいの?」「どの部署ならどんな勉強ができるの?」といったやり取りを経て、「監督が向いていると思う」と提案され、思い切って挑戦することになったのです。
福田沙紀さんが自身の監督経験について語る姿。女優業から演出家へとキャリアを広げ、新たな挑戦を楽しむ様子がうかがえる。
演出の現場で得た充実感
スポットライトを浴びる女優業とは対照的に、裏方に徹する監督業について福田さんは「楽しくて仕方がありませんでした」と目を輝かせます。全体のスケジュールを組むために、脚本に沿って細かく撮影方法を区分けする「カット割り」の作業では、ロケハンした撮影場所を想像しながら役者の動きを考えるのが楽しく、時間を忘れるほどだったと語ります。現場では初めての演出であったため、拙い点もあったと謙遜しながらも、カメラマンや小道具、役者など、全ての部署が妥協なく協力してくれたことに感謝を示しました。良い作品を作るために多くの問題や障壁を乗り越えていく過程そのものが、「とても新鮮で楽しかった」と制作現場での充実感を滲ませます。
視聴者の声と次なるステップ
『大人に恋はムズカシイ』公開後、視聴者から届く声は、福田さんにとって大きな喜びとなりました。「『ドラマの世界観が好きで何度も見ています』という声をいただき、とても嬉しいです」と語ります。役者として芝居を作る際も「誰かの心に届きますように」と願って演じていますが、自身のこだわりが詰まった作品が観た人の心に届いたと感じたとき、本当に幸せな気持ちになったといいます。「数字以上に言葉でダイレクトに伝えていただけたことは、私にとってありがたく、大きな財産となりました」と、その感動を表現しました。この好評を受け、福田さんには監督業のオファーが相次いでおり、YouTubeの10分ドラマ『東京彼氏』シリーズのショートドラマ監督も務め、今年の6月からは『ミーハーすぎるバーテンダー』『あちらの方から』『幼なじみ』など5本が順次公開される予定です。
結論
女優・福田沙紀さんは、フリーランスへの転身を経て、長年の夢であった監督業へと新たなキャリアの扉を開きました。制作現場での深い喜びと、作品が視聴者の心に届く瞬間の達成感は、彼女にとってかけがえのない財産となっています。次々と舞い込む監督業のオファーは、彼女の多才さと情熱が新たな形で実を結び始めた証拠であり、今後のさらなる活躍が期待されます。
参考資料
- 福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー (Yahoo!ニュース / NEWSポストセブン)