【ワシントン=黒瀬悦成】11月3日実施の米大統領選を翌日に控えた2日、再選を目指す共和党のトランプ大統領(74)と民主党候補のバイデン前副大統領(77)は、選挙の行方を左右する激戦州を遊説し、支持者らに最後の訴えを展開した。
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トランプ氏はこの日、2016年の前回大統領選で制した南部ノースカロライナ、東部ペンシルベニア、中西部ウィスコンシンとミシガンの計4州を相次ぎ訪れた。対するバイデン氏は、4年前にトランプ氏が大差で勝利した中西部オハイオと、自身の生まれ故郷であるペンシルベニア両州を集中的に回った。
トランプ氏はペンシルベニア州スクラントンでの集会で、バイデン氏が新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため厳格な対策をとる構えであることに関し「バイデン氏に投票することは、ロックダウンや悲惨な状態、一時解雇に投票することだ」と訴えた。
トランプ氏は2日深夜から翌日未明にかけ、2016年の前回大統領選と同様、選挙運動を締めくくる支持者集会をミシガン州グランドラピッズの空港で開いた。トランプ氏は格納庫に詰めかけた数千人を前に「私は君たちを誇りに思う。明日、私たちは歴史的な勝利を収めるだろう」と強調した。
これに対しバイデン氏はオハイオ州で「トランプ氏は(ホワイトハウスを去るため)荷造りをすべきだ。彼のツイートや無責任さにはうんざりだ」と切り捨てた。ペンシルベニア州ピッツバーグでの集会では人気歌手のレディー・ガガさんが出演しバイデン氏を応援するよう訴えた。
一方、トランプ氏は記者団に、ペンシルベニア州で投開票日の3日後まで開票作業が続けられることに関し「大規模な不正につながる」と改めて主張した。
同氏はツイッターで、こうした措置を認めた最高裁の判断は「街頭での暴力を誘発する」と指摘。ただ、ツイッター社はこの書き込みに「議論が割れており、誤解を招く余地がある」との注記を付けた。
共和党全国委員会は2日、全米の投票所で不正投票がないかをチェックするため、弁護士らを中心に総勢約5万人の「選挙監視隊」を編成し、各地に派遣すると発表。民主党陣営も投開票をめぐる訴訟に備えて数百人規模の弁護士をかき集めているという。
全米各州の選管に大量の郵便投票が殺到する中、ペンシルベニアとウィスコンシン両州では郵便投票と期日前投票を合わせた早期投票の集計作業について、3日の投開票日を迎えるまで一切着手しない方針で、集計の遅れに拍車をかける恐れが強まっている。
トランプ氏が一部の州での郵便投票の集計結果を待たずに3日の投開票日に「勝利宣言」を行う事態が取り沙汰されていることに関し、バイデン陣営の責任者は記者団に「いかなる状況になろうと、投開票日にトランプ氏が勝者と宣言される事態が起きることは一切あり得ない」と述べ、同氏の陣営を牽制(けんせい)した。