釜山南区の戡蛮埠頭と神仙台埠頭にコンテナが積まれている。ソン・ボングン記者
バイデン氏の米大統領選勝利が韓国経済に好材料として作用するという分析が出ている。トランプ米大統領の自国優先主義政策の影響で萎縮した世界貿易が回復すれば、韓国の輸出にもプラスの影響を及ぼすからだ。米民主党が推進する大規模な景気浮揚策の反射利益も期待できる。
しかし米中の対立、環境規制強化基調は韓国経済が越えなければいけないヤマだ。何よりも新型コロナウイルスの感染再拡大が「バイデン薫風」を遮断するという懸念もある。
主要経済機関は、バイデン氏の大統領選勝利が韓国の成長率を引き上げる効果をもたらすとみている。現代経済研究院は韓国の輸出増加率が年平均0.6-2.2%、経済成長率は0.1-0.4%高まると予測した。一方、トランプ大統領が再選していれば成長率は年平均0.1%低下すると予想した。「国際通商秩序を尊重するバイデン氏の当選でグローバル貿易が改善し、韓国の輸出条件も良くなる」という理由を挙げた。対外経済政策研究院(KIEP)は6日、報告書「米バイデン政権の経済政策見通しと示唆点」で、「(バイデン氏は)基本的に自由貿易主義、多者主義貿易体制を擁護するという立場だが、大統領選で保護貿易主義的なカラーも同時に表した」と指摘した。
ウリィ金融経営研究所もバイデン氏の当選が来年の韓国の成長率を0.1-0.3%引き上げると分析した。米国の財政拡大による米国の成長率増加が韓国経済にもプラスに作用するという説明だ。
好材料ばかりではない。バイデン氏と民主党がこれまでに出した公約の中には、韓国経済に危険要素となる部分がある。代表的なのが環境規制だ。民主党は気候協定を遵守しない国に「炭素税(carbon adjustment fee)」のような不利益を与えるべきだと主張した。高麗大経済学科のカン・ソンジン教授は「米国が環境関連の各種政策を強行する場合、環境規制への対応が相対的に準備できていない韓国企業が被害を受ける可能性がある」と述べた。米中の対立による影響も残る。韓国貿易協会国際貿易通商研究院は8日の報告書で「バイデン氏も対中国強硬策を継続すると予想され、反ダンピング・相殺関税など現在の保護貿易基調も続くだろう」と予想した。仁荷大国際通商学科の鄭仁教(チョン・インギョ)教授は「米民主党もトランプ政権に劣らず中国に圧力を加えるはず」とし「米国が中国を排除する新しい通商秩序を構築し、韓国に選択を要求する可能性があるだけに、政府は綿密に対応する必要がある」と強調した。
主要国の新型コロナ再拡大は、バイデン氏の勝利によるプラス効果を弱めると予想される。先月末以降、新型コロナ感染者が急増し、フランスやドイツなど主要国がまた経済封鎖措置を取った。これは最近の輸出改善で反騰した韓国経済にも影響を及ぼす。今年1-3月期(-1.3%)、4-6月期(-3.2%)に後退した韓国の四半期別の成長率(前期比)は7-9月期に1.9%とプラスに転じた。韓国開発研究院(KDI)は8日に出した「11月の経済動向」で「輸出は日平均輸出額が増加して改善したが、欧州と米国で新型コロナ拡大が加速し、下方リスクが拡大した」と診断した。
韓国政府は経済部処合同タスクフォース(TF)を構成し、米大統領選以降の混乱の可能性などの推移を新型コロナ拡大と同時に綿密に点検する方針だ。
金容範(キム・ヨンボム)企画財政部第1次官は6日の政策点検調整会議で、「西欧の国で新型コロナ再拡大とインフルエンザが同時流行するツインデミック(twindemic)のおそれがある」と述べた。自由市場研究院のオ・ジョングン院長は「米大統領選も重要な変数だが、現在、韓国経済の回復を左右する最も重要な要因は結局、新型コロナ拡大を防げるかどうかだ」と診断した。