新型コロナウイルスの影響で経営が苦しい大手航空会社の社員について、出向の受け入れを表明する自治体が相次いでいる。
【図解】日本航空とANAの事業比較
ANAグループから佐賀県は年度内に10人を迎える。石川、三重、鳥取3県も出向を受け入れる考えだ。日本航空(JAL)から打診があった鹿児島県も受け入れの可否を検討している。ANAホールディングス(HD)やJALはグループ外への社員出向を進めており、同様の動きが広がりそうだ。
佐賀県が受け入れるのは40歳以下の社員。県が人件費の一部を負担する形で、11月補正予算案に1075万円を盛り込む。期間は2年。県とANAグループは以前から人事交流をしており、県は現在、客室乗務員1人を迎えている。出向の受け入れは山口祥義知事と片野坂真哉ANAHD社長の会談で決めた。
石川県は社員数人の受け入れを検討。年内にも始めたい考えだ。三重、鳥取両県のほか沖縄県浦添市も受け入れ人数や時期を調整している。鳥取県は社員と県内企業とのマッチングも支援する。
各自治体は観光や交通、子育ての分野に社員を配属する方針。航空会社で培ったビジネス経験を行政に生かしてもらう。
新型コロナの影響で旅客数の回復が見込めないことから、2021年3月期の連結純損益はANAHDが5100億円の赤字、JALが最大2700億円の赤字となる見通し。人件費を減らすため、ANAHDは来春にはグループ外へ社員400人以上を出向させる。JALでは10月時点で約500人の社員がグループ外へ出向している。