1日に否決された「大阪都構想」の住民投票に関連する公文書を、大阪市財政局が故意に廃棄し、議員に文書の存在を隠蔽(いんぺい)していたことがわかった。廃棄された文書は、毎日新聞大阪本社の記者が財政局幹部に記事掲載前に見せていた原稿の一部で、都構想のデメリットに関する財政局の見解が示されていた。市は関与した職員の処分を検討する。
18日の市議会特別委員会で、財政局の東山潔局長らが廃棄を明らかにした。
毎日新聞が10月26日夕刊(大阪本社版)の1面トップで掲載した記事では、大阪市を単純に四つの自治体に分割すると、行政運営のコストが現在より年218億円増えるとの財政局試算と、都構想に関して「デメリットの一つの目安」などとする局担当者の見解が掲載された。
市によると、毎日の記者は記事の内容確認のため、掲載前日の10月25日、原稿の前半と後半を2枚の画像に分けて中村昭祥・財務課長にメールで送信。中村課長は翌26日、画像を印刷して東山局長と佐藤晴信・財務部長と共有した。
しかし、今月に入って地域政党・大阪維新の会の市議に関連文書の開示を求められた。東山局長らは市条例に基づき、公文書扱いとした上で、原稿の後半部分が記された公文書を廃棄し、前半部分のみを提供していた。公文書の保存期間は1年未満から30年まで幅があるが、まだ決めていなかったという。
廃棄した理由について、中村課長は18日の委員会で「財政局を挙げて記事を確認し、(毎日と)共作したと受け止められてしまう不安があった」と説明。廃棄した事実は当初、松井一郎市長にも報告しておらず、松井市長は記者団に「危機管理として最悪。幹部職員が責任を取らないといけない」と述べた。