ゴールデンウィークの家族旅行、学校を休ませて良い?ラーケーション活用のヒント

ゴールデンウィーク(GW)は家族旅行の絶好の機会ですが、カレンダー通りに休めない方も多いですよね。そこで、学校を休ませて旅行に行くことに悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。今回は、家族旅行と学校欠席に関する議論、そして注目を集める「ラーケーション」制度について、専門家の意見を交えながら詳しく解説します。

家族旅行 vs 学校欠席:賛否両論の渦中

SNS上では、GW中の家族旅行に伴う学校欠席について、様々な意見が飛び交っています。「土日祝日に休めない親もいるので問題ない」「有給休暇が推奨される時代、子供にも休暇があって良い」といった肯定的な意見がある一方で、「遊びで学校を休ませるのはどうか」「先生や他の子どもに迷惑がかかるのでは」といった否定的な意見も根強く存在します。特に義務教育期間中は、「教育を受けさせる親の責任を果たしていない」といった厳しい声も聞かれます。

altalt下鴨神社のような人気の観光地はGW期間中、家族連れで賑わいます。

学校教育法では、「欠席」は大きく分けて「病気や家庭の都合による欠席」「出席停止(感染症等)」「忌引」の3種類に分類されます。家庭の都合による欠席は、一般的に「事故欠」と呼ばれますが、学校や自治体によっては区別しない場合もあります。

教育現場の視点:柔軟な対応と学習サポート

東京都目黒区教育委員会では、保護者の仕事などの事情を考慮し、家庭の都合による欠席を基本的に認めています。子供の状況や所在が確認できる場合は、教員が理由を深く詮索することはありません。また、欠席による学習の遅れについては、子供からの申し出があれば、教員や友人との情報共有などを通してフォローアップ体制を整えています。事前に休むことがわかっていれば、よりスムーズなサポートが可能となります。

都立高校の受験では、調査書に欠席日数の記入は不要となりましたが、私立高校では必要な場合もあります。

ラーケーション:学びと休暇を両立する新しい選択肢

「皆勤賞」の廃止も進む中で、学校を休むことへの価値観も変化しつつあります。愛知東邦大学の白井克尚准教授(社会科教育)は、「学校を休ませないことは大切だが、休む間の経験も重要。全ての出席が善ではないという考え方が広まっている」と指摘します。

こうした流れの中で、注目されているのが「ラーケーション」制度です。「ラーニング(学習)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語で、平日に学校を休んで地域や家庭で体験学習を行い、学びを深めることを目的としています。

愛知県の公立小中高校生を対象とした調査では、制度開始から約半年で子供の約17%がラーケーションを取得しており、進路への影響が少ない小学校低学年ほど取得率が高い傾向が見られました。

大分県別府市や沖縄県座間味村、茨城県、熊本県などでもラーケーション制度が導入されています。別府市では、市民からの好評を受け、年間取得日数を5日にまで拡大しました。韓国では、家族との海外旅行も認められるなど、ラーケーションが既に制度化されています。

ラーケーションのメリットと課題

白井准教授は、ラーケーションは「働き方改革」や地域経済の活性化に貢献するだけでなく、「休むことの価値や可能性を広げる」と評価しています。

一方で、教員の負担増加や、エッセンシャルワーカーなど職種によっては利用しづらいといった課題も指摘されています。名古屋市では、「格差」の助長への懸念から導入を見送っています。

学校を休む判断基準:子供の学びを最優先に

ラーケーションの全国的な普及は、まだ不透明な状況です。家族旅行で学校を休ませることの是非について、白井准教授は「学外の『学び』のあり方も多様であると捉えることが重要」と述べています。旅行や外出だけでなく、家での手伝いや家族との交流も学びの体験になり得るし、休息することも学びを続けるための大切な時間です。子供にとって最適な「学び」の形は様々であることを理解することで、罪悪感を抱かずに済むでしょう。

「学外でなければ得られない有意義な学びができるか」を判断基準にするのも一つの方法です。

まとめ:家族旅行と学校、学びのバランスを

家族旅行は、子供にとって貴重な体験学習の場となります。学校を休ませる場合は、ラーケーション制度の活用も検討しながら、子供の学びを最優先に、家族でよく話し合って決めることが大切です。