群馬県草津町の草津温泉では21日、3連休初日とあって、湯畑周辺の飲食店や土産物店では観光客らの行列もできた。ただ、新型コロナウイルス感染の全国的な再拡大で、政府の観光支援事業「Go To トラベル」が見直されることになり、地元では懸念の声も上がっている。
同事業を利用して友人3人と訪れた東京都江東区の会社員(22)は「予想以上に人が多い。コロナ対策を万全にして楽しみたい」と話した。家族連れの千葉県柏市の自営業男性(49)は「マスクを着けて密を避けるように呼びかけるなど、基本的な対策が取られているので安心」と語った。
草津町によると、感染拡大の影響で、5月の観光客数は前年の1割にも届かなかったが、10月は前年比99%の24万4735人に回復。同事業の効果が大きく、10月から対象地域に、東京発着分が追加されたことも活性化につながった。
ただ、感染の再拡大と同事業の見直しで、観光客が再び落ち込むことへの不安が出ている。約140宿泊施設が加盟する草津温泉観光協会の市川薫会長(74)は「11月以降も売り上げを伸ばし、深刻な状況から脱却できると期待していたところだった。往来に『Go To』が使えない地域が増えてしまうとどうなるか」と戸惑いを隠せない。ホテルや旅館は3連休中、ほぼ満室でキャンセルもほとんどないといい、「宿泊施設は対策を万全にし、お客さんはマナーを守ってくれている。何とかにぎわいを維持したい」と語る。
山本知事は20日の記者会見では「『Go To』事業によって感染が増えたという事例はない」と話し、観光自粛などは求めない考えを示していた。