中国の#MeToo 有名テレビ司会者をインターンが訴えた裁判が開始

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中国の#MeToo 有名テレビ司会者をインターンが訴えた裁判が開始

中国の「#MeToo(私も)」運動の行方を決めるとされる注目の裁判が2日、同国の裁判所で始まった。事件からは6年が経過している。

オンラインで「弦子」のニックネームで知られる女性は2014年、中国で最も有名なテレビ司会者の1人にセクハラを受けたとして、裁判を起こした。

司会者は、不法行為は一切無かったと主張。逆に、社会的評価と精神面での健康が害されたとして、女性とその支援者らを相手取って反訴した。

中国ではこうした事案はリスクが大きく、この段階まで達することすらまれだと、アナリストらは話す。

非公開の裁判を前に、弦子さんは何が起きても後悔はしないとBBCに語った。「私が勝てば、多くの女性が思い切って自らの体験を語るでしょう。もし負ければ、正義が実現されるまで訴え続けます」。

北京の海淀地方裁判所の外には2日、100人近くが集まり、弦子さんへの支援を表明した。多くが「#Metoo」と書かれたプラカードを手にしていた。「私たちはあなたとともに歴史からの答えを待っている」と記したものもあった。

この集会はおおむね平和的だった。だがAFP通信によると、警察が解散させようとしたり、外国の記者を排除したりした際に、もみ合いになった。

弦子さんは、米ハリウッドの映画プロデューサーだったハーヴィー・ワインスティーン受刑者に対する一連の訴訟について知ってから間もない2018年夏、自身の体験を中国のメッセージアプリ・微信(ウィーチャット)で中国語で記す決心をした。レイプ被害を生き延びたと話していた、子ども時代の友人への連帯を示す意味もあった。

3000文字の文章で、当時25歳の弦子さんは2014年の経験を振り返った。中国の国営放送局CCTVでインターンをしていた時に、全国的に有名なテレビ司会者の朱軍さんにセクハラを受けたとする内容だった。弦子さんは警察に届け出たが、警察は朱さんが有名テレビ司会者であることを理由に、告訴を取り下げるよう告げた。社会に対する朱さんの「ポジティブな影響」という点からも、考え直すよう言われたとした。

弦子さんの書き込みは、友人でNGO職員の徐超さんがソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」に転載すると、すぐに爆発的に拡散された。そのころまでに、「セクシュアルハラスメント」という言葉は中国メディアでよく使われるようになっていた。アメリカや欧州の#MeToo運動と、中国で少数ながら告訴が成功した事例が出ていたことの影響だった。

その年(2018年)の1月には、北京の大学が元学生にセクハラをしたとされた教授を免職にした。さらに数カ月後には、著名な慈善団体設立者が、2015年の資金集め活動中にボランティアをレイプしたと訴えられ辞任した。

弦子さんが訴えた相手は中国で誰もが知っている人だっただけに、中国メディアは彼女の訴えに大きな関心を示した。多くの女性に加え、男性も不信感を表明し、オンラインでの連帯を示した。しかし弦子さんによると、その後すぐ、メディアが検閲によって彼女の主張を報じることを禁じられたと聞いた。

数週間後、弦子さんと友人の徐超さんは、社会的評価と精神的健康を悪化させたとして、朱さんに訴訟を起こされた。皮肉にもこのことが、弦子さんの訴えに対する中国メディアの関心を本格的に高めた。カメラマンが写真を撮ろうとつきまとい、弦子さんにはソーシャルメディアを通じて、何千人ものセクハラ被害者(女性と男性の両方)から連絡があった。

弦子さんは2日の公判を前に、「ひどい被害を受けるようになりました。ある時は、加害者だという人から、私は妄想性障害があり、普通の人だと証明する必要があると非難されました」とBBCに語った。

「2014年までさかのぼって証拠を集める中で、繰り返し何度もあの体験を自分の中で再現しなくてはなりませんでした。毎回、拷問を受けているようで、屈辱感もありました」

徐超さんは現在、英イングランドに留学している。BBCに対し、もし裁判で朱さんが勝てば、朱さんが起こした裁判が続くことになると述べた。「訴えに対し、闘う準備を進めています。遠く離れていても」。

朱さんは一貫して加害行為を否定している。BBCは公判前に朱さんと弁護団に取材を申し込んだが、返事を受け取っていない。

■「いまも謝罪はない」

中国の法律は、職場での性的な不適切行為を禁じている。ただ最近まで、何がセクハラに当たるかの法的定義はなかったと、米イェール大学ロースクールのポール・ツァイ中国研究所で中国の法的枠組みの変化を研究する、ダリアス・ロンガリノさんは話した。

「現在まで、中国の裁判所に持ち込まれたセクハラ関連の事件はわずかしかありませんでした。加害者とされる人が職場で罰せられた場合、その人が労務契約違反だとして会社を訴えることが、往々にして起きています」

「加害者とされた人が、社会的評価が損なわれたとして、会社や被害を訴えた人を相手取って訴訟を起こす場合もあります」

実際、女性の利益を保護する中国の法律に「セクシュアルハラスメント」の言葉が登場するようになったのは2005年だった。以降、その法律の順守に力点を置いた規則が地方自治体からぽつぽつ出されるようになったが、「現場」レベルの変化はほとんどみられていないと、ロンガリノさんは話した。

北京のジェンダー問題に取り組むNGOによると、中国の裁判所が2010~2017年に出した判決で公表されている約5000万件のうち、セクハラに関連したものはわずか34件だった。その中で被害者が訴えたのは2件だけで、ともに「証拠不足」を理由に棄却されていた。

ただ、状況が変わりつつある兆候はある。昨年、別の注目を集めた裁判で、ソーシャルワーカーが南西部・四川省のNPOのトップに勝訴した。中国メディアは、同国で#MeToo運動が始まってから最初の法的勝利だと報じた。

だが、裁判所は加害者に対し15日以内に謝罪を表明するよう命じたにもかかわらず、1年たっても謝罪はなされていないと、中国メディアは7月に伝えた。

■「大事な瞬間」

中国は今年5月、新たな民法を公布し、来年1月1日から施行することになった。セクハラを「他人の意思に背いて実行された発言やメール、画像、身体的行為」と、定義を明確にした。さらに、政府や企業、学校はそうした行為をやめさせるよう努力すべきとした。

しかし、セクハラ被害者を効果的に保護するという点ではまだ不十分だと、批判が出ている。「職場でのセクハラ対策を企業に義務付けるところまでは行きましたが、それを怠った場合の責任については言及していません」とロンガリノさんは指摘した。

2018年の調査では、沿岸部の先進地域にある100社超の企業のうち、81%が反セクハラの方針を明文化していなかった。12%は明確な方針を掲げていたが、実施していなかった。反セクハラ方針を実行に移しているのは、わずか7%だった。

足りない部分はあるものの、弦子さんのケースがここまで来たことは、中国で変化が起きていることを示す前向きなサインだと、ロンガリノさんは話した。「裁判所が公正で厳格な公判を開けるかどうかの、非常に大事な瞬間を迎えている」。

「そうした公判を開けて初めて、セクハラを生き延びた人たちに、法律は意義ある保護を提供することができる」

追加取材:イツィング・ワン(BBC)

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