
【ワシントン=黒瀬悦成】次期米大統領に選出されることが確実となった民主党のバイデン前副大統領は14日、地元の東部デラウェア州での演説で、共和党のトランプ大統領に敗北を受け入れ撤退するよう促した。ここまでトランプ氏を支えてきた共和党議員からも、大統領選挙人投票の結果を尊重すると表明する者が続出し始めており、今後はトランプ氏がどう対応するかが注目されそうだ。
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バイデン氏は、トランプ氏を支持するテキサス州の司法長官が激戦4州での選挙結果を覆すことを目指して訴訟を起こしたことについて「民意と法の支配、憲法の尊重を否定するものだ」と批判した。その上で、最高裁が訴えを退けたのは「最高裁が民主主義への前代未聞の攻撃には関与しないとする明確な警告をトランプ大統領に送るものだ」と評価した。
バイデン氏はまた、選挙の投開票の実務を担った各州や自治体の当局者やボランティアが、「選挙の不正」を訴えるトランプ氏および同氏の支持勢力からの政治的圧力にさらされたことに関し「二度とあってはならない。米国の民主主義が生き長らえたのは彼らのおかげだ」と訴えた。
一方、上院共和党ナンバー2のスーン院内幹事は14日、バイデン氏が次期大統領であると認めた。スーン氏は、来年1月6日の上下両院合同会議では、議員らが選挙人投票の結果に異議を申し立てる憲法上の権利があるとしつつ、「そんなことをしても行き止まりだ。前進すべき時が来た」と結果受け入れを呼びかけた。
上院共和党ではこの日、ほかにもトランプ氏に非常に近いグラム議員や、大統領就任式委員会の委員長を務めるブラント議員ら少なくとも4人がバイデン氏が次期大統領になることを公の場で受け入れた。他の議員らも追随する可能性があり、トランプ氏が画策する合同会議での選挙結果の無効化が実現する可能性は一層低くなっている。
米メディアによれば、トランプ氏は「徹底抗戦」を唱える一方、周囲には2期目を務める見込みはないと漏らしているという。また、負けを認めたと受け取られるのを避けるため、最近は2024年の大統領選への出馬に言及するのも慎重になっているとされ、今後の出方は定かでない。