仁川空港の駐機場で大韓航空機とアシアナ航空機が離陸準備をしている。イム・ヒョンドン記者
大韓航空が機内食・機内免税店事業を私募ファンドのハンアンドカンパニーに売却する手続きを終えた。大韓航空は新設法人の株式20%を確保し、2番目の株主として残る。
航空業界などによると、ハンアンドカンパニーは大韓航空に9906億ウォン(約932億円)を支払い、機内食・機内免税店事業部の買収を終えた。大韓航空はこの日、新設法人「大韓航空シーエヌディーサービス株式会社」の株式20%を963億ウォンで取得したと公示した。したがって大韓航空は2つの事業部を売却して実際に手にした現金は約7900億ウォン。
シーエヌディーサービスはハンアンドカンパニーが機内食事業のために設立した法人。ハンアンドカンパニーが80%で筆頭株主、大韓航空が2番目の株主だ。これに先立ち大韓航空はハンアンドカンパニーに機内食事業を譲渡しながら新設される法人の一部の株式を取得すれば売却が完了するよう契約を締結した。
大韓航空は経営に参加しないが、新設法人と機内食供給契約および機内免税店販売契約を締結する。ハンアンドカンパニーは大韓航空側と30年間の独占契約を結び、大韓航空の運営戦略とノウハウを確保する計画だ。
ハンアンドカンパニーは新型コロナウイルス感染拡大の余波で航空業が事実上中断した状況であるだけに、当分は経営効率化と再整備作業に集中するとみられる。大韓航空のアシアナ航空買収作業が終われば、今後、機内食事業部の規模が拡大し、シナジー効果が生じるという期待感もある。
大韓航空の機内食・機内免税店事業部の売却は5カ月間で取引を終結した。大韓航空は7月、機内食・機内免税店事業部の売却のためにハンアンドカンパニーに排他的交渉権を付与する了解覚書を締結し、議論を進めてきた。
◆大韓航空、資産売却を加速
大韓航空は新型コロナ長期化による流動性の危機に対応するため資産を売却している。バス会社「KALリムジン」は私募ファンド運用会社ケイストーンパートナーズに約200億ウォンで売却することにし、最終交渉を進めている。
仁川永宗島(ヨンジョンド)のレジャー施設「王山(ワンサン)マリーナ」を運営する王山レジャー開発も売却する。大韓航空が全株を保有する王山レジャー開発の売却のため、先月、カンサス-未来アセット大宇が優先交渉対象者に選ばれた。
ただ、計画の核心であるソウル松ヒョン洞(ソンヒョンドン)の土地の売却は進んでいない。ソウル市が4671億ウォンでこの土地を買い取ると主張したが、代金を2年間分割支給する条件を付け、流動性の確保にブレーキがかかった。
航空業界の関係者は「大韓航空がさらなる流動性確保のために韓進グループの国内外ホテルおよび不動産資産を追加で売却する可能性もある」と話した。