新型コロナに対応するために5人以上の集まり禁止が施行され、クリスマスを翌日に控えた24日、ソウル明洞はがらんとした様子だった。市民が明洞の街を通り過ぎている。シン・ギョンフン記者
韓国ではことし7-9月期の家計債務の規模が史上初めて名目国内総生産(GDP)の水準を上回るなど、家計債務の返済負担が高まったことが分かった。また、コロナ禍が来年まで続けば、韓国企業の10社に4社は営業利益で利子費用も払えない状況に直面するものと予想される。廃業の危機に追いこまれる自営業者世帯も来年5万世帯を上回る可能性があるという予想が出てきた。コロナ禍が家計債務・限界企業・自営業者など国内経済の「弱点」に強い衝撃を与えているという分析だ。
◇急増した家計債務の比率
韓国銀行が24日に発表した「2020年下半期の金融安定報告書」によると、ことし7-9月期末の名目GDP比家計債務の比率は前年同期比7.4%ポイント増の101.1%だった。家計債務(零細自営業者の債務などを含む)は、ことし7-9月期末に1940兆6000億ウォン(約182兆6000億円)で史上最大値を記録した。同期間の名目GDP(昨年10-12月期からことし7-9月期まで)は、1918兆8000億ウォンだった。
名目GDP比家計債務比率が100%を超えたのは、関連統計を作成開始した1975年以来、今回が初めて。この比率は、2017年末には89.4%だったが、2018年91.8%、2019年95.2%と90%台に入った。ことしはコロナ禍に加え、不動産や株式買取資金の需要拡大まで重なり、家計債務が大きく増加し、史上初めて100%を上回ったという説明だ。
韓国銀行関係者は「今後、景気回復が遅れれば、このように増加した家計債務は不良債権化のリスクが高まりかねない」と述べた。
◇ゾンビ企業も増加
営業利益で利子も返済できない、いわゆる「ゾンビ企業(限界企業)」も急速に増加していることが確認された。韓銀が外部監査法人2298社を対象に分析した結果で、報酬の比率1倍未満の企業の割合は、2018年35.7%、2019年35.4%から今年末には37.5%に上昇した後、来年は39.1%に及ぶと推算された。新型コロナのため来年の企業の売上高はことしに比べて1.7%減少するという「悲観シナリオ」を想定した推定値だ。
利子補償比率は、営業利益を利子費用で割った値で、この比率が1倍未満ということは、営業利益で利子費用をまかなうことのできない状態をいう。
このような「悲観シナリオ」では、企業別倒産率もことしの1.41%から来年1.59%に高まるものと予想された。韓国銀行関係者は「世界的な景気回復の弱体化の懸念から企業経営環境の不確実性が高まった」とし「企業の信用リスクが高まる可能性に備えなければならない」と述べた。
◇存廃の危機に置かれた自営業者
コロナ禍で存廃の岐路に置かれた自営業者も溢れている。韓国銀行は昨年、約243万7000カ所に及んだ国内企業の自営業者世帯(世帯主が自営業者である家計)のうち、「流動性リスク」を迎える世帯はことし2月には2.3%に留まっていたが、今月には7.5%に増加したと推定した。コロナ禍が続く中、来年3月に政府・金融界の小商工人元利金返済猶予措置が期限切れになれば、この割合は来年末には10.4%(約25万3400世帯)まで上昇する可能性があると韓国銀行は予測した。
流動性リスクとは、預金・積立金を解約して株式などの金融資産を売却しても生活していく基本的支出と満期になった借入金を返済することが困難な状況を指す。すべての資産を売却しても負債を返済することができず、事実上倒産する自営業世帯の割合も、ことし2月には全体の0.4%だったが来年末には2.2%(約5万3600世帯)まで高まると推定された。自営業者世帯は負債を返済するために運営する店を廃業する場合が多いことを考慮すると、来年には多ければ自営業者5万人が廃業する可能性があるという分析だ。