「サムスンも順番待ち」 半導体のスーパーサイクルを鍵握る「スーパー乙」


オランダのASML社のPeter Wennink最高経営責任者(CEO)。
オランダのASML社のPeter Wennink最高経営責任者(CEO)。

サムスン電子や台湾TSMCなど大型半導体メーカーが大規模な投資を予告している中で、世界で唯一、極端紫外線(EUV)露光装置を作っているオランダのASMLが注目を浴びている。世界1、2位半導体メーカーが互いに「装置を作ってほしい」と順番を待っていることから、ASMLが半導体「スーパーサイクルの鍵」を握っているという評価がある。

ASMLのEUV露光装備は半導体露光工程(写真を撮るように半導体原版であるウェハーに回路を刻む作業)に必要だ。光の波長が短ければウェハーに半導体回路を細かく描けるが、ASMLの装備は従来の193ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の14分の1水準である極端紫外線を使うため、より精巧な作業が可能だ。このような点で5ナノメートル以下の半導体超微細工程における核心装置に挙げられている。

過去には日本のニコンやキヤノンなども関連製品を出していたが、ASMLに押されてEUV市場から消えた。業界関係者は「最新半導体サプライチェーンで、唯一サプライヤーが1社だけの分野」とし「半導体メーカーが顔色を伺わざるをえない」と話した。

昨年10月、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)拡大の渦中にも、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長がオランダ・フェルトホーフェンにあるASML本社を訪問したのは装置供給計画について議論するためだった。成均館(ソンギュングァン)大学システム半導体工学科のハン・テヒ教授は「半導体工場を作る過程で敷地や建物は20~30%だ。装備とユーティリティが占める比重がそれだけ大きい」と説明した。また「ASMLの価値を察することができる」と付け加えた。

ASMLが市場覇権を左右する主要な理由は、1年に生産可能な装置が30~40台と限られているためだ。半導体メーカー1社が1台を導入すれば競争会社がこれを奪われる「ゼロサム」の性格を帯びている。ASMLは昨年31台を、今年は40台余りを出荷する計画だ。

高い技術障壁のために、業界では取引しにくい会社との認識だ。現在は注文が溜まっていて装備の納品までには1年以上待たなければならない。基本的に装備の製作だけで5カ月かかる。重さ180トン、高さ4~5メートルにもなる機械の中に計10万個の部品が使われている。内部気圧は大気圧の10万分の1水準を維持しなければならず、0.005度単位で温度を制御する技術も必要だ。ASMLがEUV装備を開発して商用化するために20年かかったほどだ。1台あたりの価格は1500億~2000億ウォン(141億~188億円)だ。最近では1台あたり3000億ウォンをつけていることが分かった。

新韓金融投資のキム・ヒョンテ研究員は「微細工程の需要が増加し、EUV装置の役割に注目が集まるほどASMLの企業価値も高まる」としながら「装置業種内で最も完ぺきな独占構造を構築した」と評価した。

米国ナスダック市場に上場したASMLの株価も高まる一方だ。22日を基準として時価総額は264兆1600億ウォンだった。一時「半導体帝王」に挙げられたインテル(256兆5700億ウォン)を超えた。昨年の売上は140億ユーロ(約1兆7700億円)、純利益は36億ユーロで史上最高を記録した。最高経営責任者(CEO)を務めるPeter Wennink氏は「今年EUV装備の売上目標は昨年に比べて約30%増の45億ユーロ」と話した。



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