財務省の資料
企画財政部の安日煥(アン・イルファン)第2次官が、国の債務は増えるのに国税収入は減る日本の「ワニの口」のようなグラフを例に挙げ、財政管理の重要性を強調した。与党が全国民向けの災害支援金と対象を選別して実施する支援金を同時推進することに対し遠回しに懸念を表明したものと分析される。
安次官は4日に第2回公共機関投資執行点検会議を主宰し、「新型コロナ危機克服とともに未来世代が耐えられる国の暮らしを守るためには限定された財源を適材適所に効率的に配分する知恵が重要だ」と話した。これは「財政運営上、『多いほど良いという多多益善』よりは『必要なところに支援する適材適所』の価値がとても重要で基本」という洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官の2日のフェイスブックでの書き込みと同様の発言だ。
安次官はまた、「財政と公共部門の役割がさらに強調され、その需要が社会各所で爆発的に増加する時点で財政管理の必要性について確かめなければならない。未来世代の負担である国の債務が急増する状況で、財政支出の不可逆性を警告した日本の『ワニの口グラフ』の意味を想起しなければならない」と強調した。
第4次災害支援金支給問題をめぐって洪副首相が与党と神経戦を行っている渦中に、企画財政部の予算を総括する安次官が「ワニの口グラフ」に言及し洪副首相を援護射撃する発言をしたものだ。
「ワニの口グラフ」とは、持続的な支出増加と税収減少によって国の債務がワニの口の形に増加する債務構造をいう。
1973年から福祉を大きく拡大した日本は1990年代にバブルがはじけ、金を借りて福祉予算を埋めた。その結果80年代末までは平行をたどった日本の歳入と歳出は1990年から方向が分かれる。使うお金は増え続けるのに入ってくるお金は減り、両者の距離はますます遠ざかる。大きく広げたワニの口の形になったのだ。
日本の場合、GDP比の国の債務比率が1977年の32%から2019年には220%と7倍以上増加した。学界では韓国が日本の先例をたどるのではないかとの懸念が大きい。
韓国租税財政研究院長と統計庁長を務めた延世(ヨンセ)大学のパク・ヒョンス客員教授は中央日報との通話で「韓国はすでに2019年にワニの口グラフが始まっており、いまはさらに進んだとみるべき。日本の財政は約13年間ワニの口が開き、その後は閉じられないほど国の債務状況が深刻化したことを想起しなければならない」と話した。続けて「新型コロナウイルスにより財政健全性は悪化するほかないためさらに警戒心を持つ必要がある」と助言した。
安次官はまた「公共部門の効率の有無は国民の負担と関連するという点を考慮し政府だけでなく公共機関も投資執行過程で小さな財源でもいい加減に使わず、必要な分野に集中できるよう慎重を期さなければならない」と話した。