古里原発に設置された高さ10メートル、長さ2.1キロメートルのコンクリートの海岸障壁。[写真 韓水原]
3・11の日本福島原発事故から10年を前に、韓国原子力発電所の安全性に対する関心が高まっている。韓国で福島のような地震が発生しても、韓国の原発は安全だというのが韓国水力原子力(韓水原)と原子力専門家らの診断だ。
9日、韓水原によると、韓国の原発は建設当時からマグニチュード6.5~7.0の強震に耐えられるように耐震設計された。原発が建てられた場所も一般の土砂地盤ではなく、岩盤の上だ。地震が発生したときに伝わる振動が30~50%程度小さい。
その後、福島原発事故を契機に耐震性能基準をマグニチュード7.0以上に強化した。性能向上が必要な一部の設備は交換し、構造補強などを追加した。新古里(シンゴリ)5・6号の場合、マグニチュード7.4までの地震に耐えることができる。韓国で発生した最大規模の地震は、2016年に慶州(キョンジュ)で発生したマグニチュード5.8の地震だ。
何よりも、この基準を超える地震が起きても原発を保護して放射能の流出を防ぐことができる。一定規模以上の地震を感知すると、原子炉が自動停止するようにする地震自動停止装置(ASTS)を構築した。更に、津波や電力遮断、水素爆発など最悪の状況を想定した2重、3重の安全装置を補強したおかげだ。実際、福島原発事故の原因は地震ではなく、津波による浸水だった。津波のせいで外部電源が切断されたが、非常発電機にさえ浸水し、原子炉冷却器が正常に作動できなかったためだ。
韓水原は津波に備えた海岸障壁と防水扉を構築し、断電に備えた移動型発電車両を配置した。古里(コリ)1・2号機の場合、厚さ15~50センチメートル、高さ7.5~9メートルで構築された海岸の障壁を厚さ1.85メートル、高さ10メートル、全長2.1キロメートルに補強した。これを超える津波による浸水などに備えするために、大規模な排水ポンプ設備と防水扉を設置した。水素爆発を防ぐために、電源がなくても動作する水素除去装置も備えている。
慶煕(キョンヒ)大学原子力工学科の鄭ボム津(チョン・ボムジン)教授は「大韓民国の原発は厳しい地震・津波・台風・戦争・テロなどの状況でも安全に維持される」とし、「韓国の原発技術は、世界で最も厳しい規制を通過し、技術力と安定性を認められた」と強調した。
加えて、日本の場合は原子炉内の冷却水を直接沸騰させて発生した水蒸気でタービンを運転する沸騰水型炉(BWR)方式だったが、韓国の原発はこれを分離した加圧水型炉(PWR)方式で、技術的に安全性がより優れているというのが韓水原の説明だ。
ソウル大学核工学科の朱漢奎(チュ・ハンギュ)教授は「韓国の原子炉型、すなわち加圧水型原子炉を使用している原発で問題になるほどの放射性物質の流出事故が起きた前例がない」とし、「万が一福島地震以上の事故が発生しても放射性物質の外部流出はないだろう」と説明した。
一方、原発に反対する環境団体と一部の与党議員は、数千万分の1の確率であっても、事故が起きたとしたら対応しきれないほど被害が莫大だという点から、安全性を確保することができないとみている。共に民主党カーボンニュートラル特別委員会所属の議員らは、「私たちは10年前の福島原発事故のような致命的な危険に恒常的に露出している」とし、「わずか30~40年を使用し、10万年以上安全に保管しなければならない高準位放射性廃棄物の処理方法もまだ用意できていない」と指摘した。