フォルクスワーゲンのトーマス・シュマル技術担当取締役は15日にドイツで開催した「パワーデー」行事で事実上バッテリー自給を宣言した。この日LG化学とSKイノベーションなど韓国のバッテリーメーカーの株価が急落し時価総額7兆ウォンが蒸発した。[写真 フォルクスワーゲン]
フォルクスワーゲンが電気自動車用バッテリーを独自に設計・生産する垂直系列化を宣言した。世界的自動車メーカーの相次ぐバッテリー自給宣言が韓国企業に直撃弾になりかねないとの懸念が出ている。
「フォルクスワーゲンショック」でこの日韓国の電気自動車用バッテリーを生産するLG化学、SKイノベーション、サムスンSDIの3社の株式時価総額は約7兆ウォン蒸発した。
フォルクスワーゲンのトーマス・シュマル技術担当取締役は15日にドイツのウォルフスブルクで開催した「パワーデー」行事で、「ユニファイドセルという新規統合バッテリーセルを2023年から導入し2030年には全電気自動車モデルの80%に搭載する」と明らかにした。このためフォルクスワーゲンは独自の電気自動車プラットフォームに搭載するバッテリー工場6カ所を欧州に設立するという計画を出した。
フォルクスワーゲンが独自生産することにしたユニファイドセルはLGとSKのパウチ型と違い角形だ。角形バッテリーのためスリムなスケートボード形の電気自動車プラットフォームにすぐ組み込むことができる。中国CATLが主導しているいわゆる「セル・トゥ・パック」バッテリー技術の拡張版だ。
大林(テリム)大学自動車科のキム・ピルス教授は「自動車メーカーのバッテリー内在化戦略が最近になり明確になっている。車という限定された空間で最大限のバッテリー効率を作り出すための目的」と分析した。
米ゼネラルモーターズ(GM)もやはり昨年3月に独自開発したバッテリーと電気自動車プラットフォーム「アルティアム」を公開した。LGエネルギーソリューションの分離前の法人であるLG化学とGMが共同開発したアルティアムバッテリーは初期開発時からGMの独自プラットフォームに最適化された方式で設計された。アルティアムバッテリー関連特許の相当数はGMが保有したという。現代自動車もやはりバッテリーを独自に設計するが中国企業から納品を受ける案を協議中だ。
自動車メーカーが電気自動車独自専用プラットフォームを持ち出しバッテリーメーカーは自動車の要求に合わせてバッテリーの仕様を合わせなければならない状況に直面している。特に角形バッテリーを生産するサムスンSDIとは違いパウチ型バッテリーに注力してきたLGエネルギーソリューションやSKイノベーションは形態を変えなければならないという課題を抱えることになった。未来アセット大宇のパク・ヨンジュ研究員は「パウチ型セルを納品してきたLGエネルギーソリューションとSKイノベーションに短期不確実性が予想される」と話した。
あるバッテリーメーカー役員は「パウチ型に合わせて大規模設備投資を進めてきた状況で角形に合わせるには技術も新たに開発し施設も替えなければならない困難がある。だがバッテリー技術そのものに対する競争力があるだけに自動車業界との協業は続くだろう」と話した。
一方、「フォルクスワーゲンショック」でこの日韓国の電気自動車用バッテリーメーカー3社の時価総額は前日より6兆9089億ウォン(約6642億円)蒸発した。LG化学の株価は前日比7.75%(7万5000ウォン)安の89万1000ウォンで取引を終えた。時価総額は1日で5兆2944億ウォン減った。SKイノベーションは前日より5.69%(1万3000ウォン)安の21万5500ウォンで引け、株価は年初来安値に落ち込んだ。角形バッテリーを生産するサムスンSDIの株価は0.87%(6000ウォン)下落し68万ウォンを記録した。
韓国投資証券のキム・ジョンファン研究員は「フォルクスワーゲンのパウチ型二次電池主要供給会社であるLGとSKには否定的なニュース。2025年から韓国の二次電池メーカーのフォルクスワーゲン内のシェアが下落するだろう」と予想した。