
3年間で週40時間以上働く労働者が195万人減り、「良質の雇用」が急減したという評価が出ている。ソウル西部雇用センターで求職者が雇用情報掲示板を見ている。キム・ボムジュン記者
文在寅(ムン・ジェイン)政権になり週40時間以上勤務するフルタイム雇用が195万件消えたことがわかった。週40時間未満の短時間労働者は213万人増えた。成長率鈍化、最低賃金引き上げ、新型コロナウイルスの余波などで「良質の雇用」は減ったのに対し、政府が税金で後押しする財政雇用は増えた結果と解説される。
野党「国民の力」の兪京濬(ユ・ギョンジュン)議員が21日に統計庁雇用動向原資料を分析した結果、1週間当たり労働時間が40時間以上の労働者は2017年の2084万人から昨年は1889万人に、3年間で195万人減少した。週40時間以上は経済協力開発機構(OECD)が分類するフルタイム労働者の基準だ。週5日基準で1日8時間働く「完全な雇用」という意味だ。
同じ期間に週40時間未満の労働者は213万人増えた。このおかげで就業者数は18万人増加したが、完全な雇用は大幅に消え雇用の質は大きく悪化したという指摘が出ている。朴槿恵(パク・クネ)政権当時の2013~2017年の4年間に週40時間以上の労働者が214万人増え、週40時間未満の労働者は72万人減ったのと対照的だ。
労働時間を反映した雇用指標である「フルタイム換算雇用率」も15歳以上基準で2017年が65.1%、2018年が63.0%、2019年が62.0%、昨年が58.6%と急速に落ち込んでいる。フルタイム換算雇用率では週40時間働く労働者は1人、80時間働く労働者は2人、20時間働けば0.5人と計算する。1週間に1時間働くだけでも就業者1人とする一般雇用率指標の限界を補完したものだ。
OECDが集計した15~64歳のフルタイム換算雇用率を見ると、英国は2017年の68.4%から2019年には69.3%に上がった。同じ期間に米国も67.5%から68.9%に上昇した。韓国は同じ期間に72.3%から69.0%に下がった。下落幅はOECD35カ国で最も大きかった。
兪議員は「財政雇用拡大などの錯視効果を除けば現在の雇用状況が過去最悪に悪化したという点が表れた」と話した。
◇良質の雇用急減、公共バイトで「目隠し」…「税金で統計粉飾」
文在寅政権が発足した翌年の2018年から昨年までの3年間で就業者数は18万人増えた。昨年の新型コロナウイルスにともなう「雇用ショック」を考慮すれば善戦したというのが政府の評価だ。だが18万人の雇用増加は1週間の労働時間が40時間に満たない短時間労働者が213万人急増したことによるものだ。週40時間以上のフルタイム雇用は195万件消えた。短時間労働者の急増という錯視を除去すれば韓国の雇用市場の「素顔」が明らかになったとの指摘を受けている。
◇短時間の財政雇用で事実上統計粉飾
専門家らは現政権になり雇用の質が大きく悪化した理由を、▽政府財政雇用(直接雇用)供給拡大▽最低賃金の急激な引き上げの余波▽景気低迷で良質の民間雇用減少――の3つを挙げている。
直接雇用拡大は就業者数を増やし雇用市場が良好なように見えるよう錯覚させた主犯だ。直接雇用は政府が社会的弱者に税金で人件費を支給して作った短時間契約職雇用だ。ほとんどが契約期間1年未満、労働時間週30時間未満だ。交通案内、ごみ拾い、防疫活動案内などの仕事をする。
韓国政府は直接雇用供給量を本予算基準で2017年の61万7000件から昨年は94万5000件に増やした。昨年は追加補正予算でも最小30万件以上が追加供給された。これを合わせれば昨年の供給量は最小124万件に達する。3年間に60万件以上増えたのだ。2011~2017年の6年間の増加量は14万5000件にとどまった。誠信(ソンシン)女子大学経済学科のパク・ギソン教授は「社会的弱者は助けが必要という点を考慮しても直接雇用供給量がとても多く税金で『統計粉飾』をする水準」と話した。
最低賃金の急激な引き上げは事実上労働時間を強制短縮させ短時間労働者を量産する契機として作用した。政府は最低賃金を2018年に16.4%、2019年に10.9%引き上げた。人件費負担が大きくなった小商工人を中心に従業員の労働時間を減らす事業主が大きく増えた。週15時間未満の労働者は週休手当て(1週間の労働時間を満たせば得られる有給休日手当て)を与えなくても構わないためだ。中小警備・清掃業者などの間では人件費負担に勝てず従業員を解雇する事例も相次いだ。
ここに2019年から本格化した景気低迷まで重なり就職難がさらに加重された。漢城(ハンソン)大学経済学科のキム・サンボン教授は「現政権になり民間正規職就業が難しくなると『アルバイトでもしよう』という青年が大幅に増えた」と診断した。
◇外国ではフルタイム労働者増加
15歳以上の雇用率は就業者を15歳以上の人口で割った割合だ。だがここで分子となる就業者は1週間に1時間以上働いた人を示す。まともな雇用現況が反映されていないという指摘が高まり出てきた概念が「フルタイム換算雇用率」だ。この指標では就業者を1週間当たり労働時間に基づいて新たに計算する。週40時間なら就業者1人、20時間なら0.5人、80時間なら2人と換算する。
韓国の20代のフルタイム換算雇用率は2017年の59.2%から2019年に56.8%、昨年には52.5%まで下落した。15歳以上のフルタイム換算雇用率も2017年の65.1%から、2018年が63.0%、2019年が62.0%、昨年が58.6%と急激な下落傾向を示している。この指標は2010~2017年には66.5%から65.1%に下がるのにとどまった。15歳以上の就業者の週平均労働時間も2017年の42.8時間から昨年は39.0時間に減った。
「国民の力」の兪京濬議員は「自然な労働時間短縮ではなく財政雇用拡大と労働規制強化、景気低迷が作り出した『強制ワークライフバランス』」と指摘した。
これに対し韓国政府と与党では「短時間労働者増加は世界的現象」と主張する。だが15~64歳基準で経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均フルタイム換算雇用率は2017年の64.2%から2019年には65.5%に上昇した。同じ期間に米国は67.5%から68.9%、英国は68.4%から69.3%に高まった。
これに対し2017~2019年の韓国の15~64歳フルタイム換算雇用率は72.3%から69.0%に3.3ポイント下落した。OECD35カ国のうち下落幅が最も大きかった。2019年基準で英国の69.3%、スウェーデンの69.5%などに逆転された。
