(CNN) バイデン米大統領は24日、第1次世界大戦中にオスマン帝国で起きたアルメニア人殺害を正式に「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定した。これに対し、同帝国の後継国家トルコが強く反発している。
アルメニア人殺害は1915年4月に始まった。4月24日は「赤い日曜日」と呼ばれる追悼記念日。知識人ら約250人が拘束され、多くが追放または殺害された。その後、1923年までに30万~200万人のアルメニア人が殺害されたといわれている。
バイデン氏は同日発表した文書で犠牲者を追悼し、残虐行為の再発防止に向けた決意を表明した。
歴代の米大統領はトルコへの配慮からジェノサイドという言葉を避けてきたが、バイデン氏は大統領選の公約としてアルメニア人のジェノサイドを認定し、人権問題を政権の最優先課題とすると表明していた。米議会では2019年にジェノサイド認定の決議案が採択されている。
米当局者らが事前にバイデン氏による認定を示唆したのに対し、トルコのチャブシオール外相は「米国が関係を悪化させたいなら、それを決めるのは向こうだ」と述べていた。同氏は24日、バイデン氏の発言を「大衆迎合主義」と非難する声明を出した。
エルドアン首相の報道官も24日、バイデン政権が「国内向けの「政治的打算」で誤った歴史観を示すのは、両国間の関係にとって「まことに不運」なことだと主張した。
トルコ国営アナトリア通信は外交筋の話として、外務省が同国に駐在するサッターフィールド米大使を呼び出し、強く抗議したと伝えた。
バイデン氏は直前の23日、就任後初めてエルドアン氏と電話で会談し、6月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせて会談することで合意していた。