ビットコイン
仮想通貨市場がお金のブラックホールになった。
資金と投資家を恐ろしく吸い込んでいる。2月末基準で韓国の4大仮想通貨取引所(ビッサム、アップビット、コービット、コインワン)の実名確認口座数は250万1769件だ。 投資家預託金は4兆6191億ウォンで昨年末より2.5倍増えた。アップビットと提携したインターネット専門銀行のKバンクには1-3月期だけで180万件の口座が新規開設された。機会を逃すまいとする投資家の行列に取引は急増している。24日に韓国市場では1日の取引金額だけで28兆ウォンに達した。23日のKOSPI取引額15兆6533億ウォンを超えた。KOSDAQの13兆6727億ウォンまで合わせた取引額に匹敵する。1-3月期の4大仮想通貨取引所の取引金額は1486兆2770億ウォンを記録した。
市場は危うい。ビットコイン取引所であるビッサムによると、ビットコインは2018年1月6日に2598万8000ウォンまで上がり、同年12月15日には358万ウォンまで急落した。今年は3156万ウォンで取引が始まったがその後急騰し4月14日には8147万7000ウォンまで上がった。だが25日には6030万ウォン台で取引されている。
投資家保護はおぼつかない。法と規定、制度は皆無だ。過熱助長の懸念から当局が手を離したため管理監督は町内の雑貨屋水準にも満たない。認定できないが放置することもできない「仮想通貨ジレンマ」だ。
仮想通貨市場を規制の死角地帯にしたのは政府だ。仮想通貨関連法は特定金融情報法と所得税法が唯一だ。特定金融情報法はマネーロンダリング防止、所得税法は仮想資産取引収益から税金を徴収する内容だ。投資家保護に対する法律はない。「共に民主党」のパク・ヨンジン議員が2017年に仮想通貨取引所許認可制度導入と不公正取引処罰条項などを盛り込んだ関連法案を出したが特に議論されることなく廃棄された。
こうしたことから仮想通貨は上場から取引まで取引所の独自の判断により進められる。業界関係者は「取引所もそれなりの検証を経ているが、法律に基づいた規制がないばかりか書類だけで選り分けるのが難しい部分も多い」と話した。
上場廃止も頻繁だ。昨年だけでも230種類の仮想通貨が新規上場され、97種類が上場廃止された。今年も2月末までで46種類のコインが新規取引され、10種類のコインの取引が中断された。ある取引所で上場廃止された仮想通貨が他の取引所で取引されることもある。
作戦も広がる。別の業界関係者は「コインを上場させた後にクロストレーディングを通じて価格を上昇させた後、大量の相場差益を得るケースも多い」と指摘した。
◇「政府、コイン取引所の数も把握していないのに改善策出せるか疑問」
取引所ごとに公示制度を運営しているが法の規制はない。検証は一度もない水準だ。仮想通貨研究センター長を務める高麗(コリョ)大学情報保護大学院のキム・ヒョンジュン特任教授は、「海外では上場時に提出した白書を分析して不良コインを選り分けるコミュニティが活発なのに対し、韓国はそうではなく不良コインを上場した後に巨額を得るケースも多い」と話した。乱立する仮想通貨取引所の実態もまともに把握できずにいる。殷成洙(ウン・ソンス)金融委員長は22日、「仮想通貨取引所が200カ所あるが登録されなければすべて閉鎖されかねない」と話した。3月に施行された特定金融情報法により9月24日まで実名確認された出入金口座などの要件を備えられなければ大量廃業の可能性も排除することはできない。
殷委員長が言及した200カ所も民間コンサルティング企業などの推定によるものだ。金融当局関係者は「これまで法的根拠がなかったところに開業・廃業が多く正確な数値を把握できずにいる」と話した。
東国(トングク)大学ブロックチェーン研究所のパク・ソンジュン所長は「公式統計もないのにどのように適切な制度的改善策を出すことができるのか」と批判した。韓国の仮想通貨価格が他の国より高い「キムチプレミアム」を狙った差益取引を通じた違法外国為替取引で数百億ウォンの資金が流出しているが金融当局はこれといった対策を出せずにいる。「国民の力」のソン・イルジョン議員室が金融監督院から開示を受けた資料によると、1~13日の5大都市銀行から中国に送金した金額は9759万7000ドルと集計された。昨年の月平均中国送金額929万ドルの10倍を超える。これに対し同じ期間に中国以外の国への送金は1億5428万ドルで43%減った。