新古里(シンゴリ)原発3・4号機の全景。[写真 韓国水力原子力]
韓国政府が新古里(シンゴリ)原発4号機の整備日程を予定より1週間操り上げるなど、停止中の原発を早期に稼動することにした。公共機関には電力の需要が集中する午後の時間に順に冷房機器を消してほしいと要請した。増えた産業用電力需要に加え、猛暑のため冷房機器の使用までが集中し、今週中に危機を迎えるという懸念が出ると、政府が非常対策を出した。
産業通商資源部によると、新古里4号機が早ければ20日にも原子力安全委員会の再稼働承認を受ける見込みだ。承認が出れば翌日から一部の電力を供給できる。
5月29日の火災発生で稼働を停止した新古里4号機は当初、25日まで整備を続ける計画だった。整備後の原子力安全委員会の承認日程まで考慮すると、早くても今月末ごろの再稼働が予想された。
しかし今週(29-23日)中に電力危機を迎えると予想され、政府と韓国水力原子力は整備日程を1週間ほど繰り上げることにした。原子力安全委員会の最終審査過程を踏む必要があるが、大きな問題が発見されなければ早期稼働が可能というのが政府の判断だ。
これに先立ち18日には新月城(シンウォルソン)1号機も計画予防整備を終えて再稼働を始めた。23日に整備が終わる月城(ウォルソン)3号機も、原子力安全委員会の承認を受ければ整備終了当日から電力供給が可能と産業部はみている。
原発3基が再稼働すれば電力供給が2150メガワット増え、電力不足の懸念も緩和する可能性が高い。
金富謙(キム・ブギョム)首相は19日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に「今週、予備電力が最低水準になると予想され、電力の需給を綿密に管理しながら整備中の原発の早期投入と同時に需要の管理も積極的にする」と述べた。原子力安全委員会の独立性を脅かしかねない発言だが、首相が急いで原発再稼働に言及したのはそれだけ電力不足が深刻ということだ。
産業部によると、今週中の電力予備力は今年最低水準の4ギガワットまで下がることも予想される。予備力とは総供給電力能力(整備・故障除く)からその日の電力需要を引いて残る電力をいう。通常、予備力が10ギガワットを超えてこそ電力の供給が安定的とみることができる。
予備力が4GWまで落ちれば、8年ぶりに電力需給警報が発令される。2011年の大停電事態が再現されるという懸念までが出ると、政府は結局「原発カード」を取り出した。
この日、産業部は公共機関に昼の時間帯のエアコン使用を一部中断することを要求する公文書も発送した。公共機関は19日から最大電力使用時間(ピーク)の午後2時で午後5時の間の30分間、順にエアコンを消さなければならない。政府が公共機関にエネルギー使用の自制を要請したのは2013年以来。
電力不足は今週だけでなく8月まで続く可能性がある。産業部が予想する最大電力使用時期は8月第2週(94.4ギガワット)だ。2018年7月の過去最大需要(92.5ギガワット)を上回る。新古里4号機だけでなく他の原発の追加復帰も急がれる理由だ。
現在の政府の計画なら、今月の原発3基のほか、8月中旬までにハンウル3号機、ハンビッ4号機も再稼働に入る。問題は不確かな原子力安全委員会の承認結果だ。原子力安全委員会は整備過程で問題があったり整備が十分でないと判断すれば、再稼働承認を先に延ばす。2018年には原子力安全委員会の未承認で原発整備日程が遅れ、原発稼働率が過去最低の65.9%まで落ちた。111年ぶりの猛暑で2018年の電力予備力は7.0ギガワット、電力予備率は7.7%まで低下した。
中央大エネルギーシステム工学科のチョン・ドンウク教授は「整備が計画通りに進まず、電力供給スケジュールにも支障が生じている」とし「政府と原子力安全委員会が原発の整備と稼働に関連して明確な基準を立てる必要がある」と指摘した。