(写真:読売新聞)
東京や広島など3都県で特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人で、国が認めていない経営権の売買が事実上行われたうえ、預金約30億円が流出していたことがわかった。「売買代金」は契約額で42億円に上った。流出資金の大部分は回収不能となり、社福は民事再生手続きが適用される事態に陥っている。
【写真】読売新聞が入手した売却意向確認書の写し
社会福祉法で公益性や非営利性が求められる社福は売買や資金の外部流出が認められておらず、数十億円規模の資金流出などが発覚するのは極めて異例。広島県は運営に重大な問題があったとみて特別監査を実施し、実態を調べている。
この社福は男性医師(72)が1994年に広島県福山市で設立した「サンフェニックス」。現在は3都県で約20事業所を運営している。
複数の関係者や読売新聞が入手した民事再生手続きの開始申立書によると、医師と都内の男性公認会計士(58)(昨年10月に業務廃止)は2016年3月、計42億円で経営権を移転するとの契約を締結。支払いは▽会計士側が医師側に20億円を出資する▽医療協力の対価として医師に年2億2000万円を10年間提供する――方法で行うことになった。