県警が押収した残土券(山梨県警提供)
山梨県北杜市の山間部で無許可の盛り土が繰り返されていた問題で、同県警は1日、同市の造成業「バイオ・テック・ジャパン」代表取締役の男(75)を、盛り土などを規制する県条例違反の疑いで再逮捕した。2008年の施行以来、同条例違反容疑での逮捕は初めて。
発表によると、男は昨年7~12月、同市須玉町大蔵の山間部に首都圏や県内から建設残土などの土砂を搬入し、県の許可を得ずに約5200平方メートルの盛り土を造成した疑い。条例は3000平方メートル以上の盛り土には県の許可が必要と定めており、違反すると2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。男は「盛り土が3000平方メートルを超えているとは思わなかった」と供述しているという。
男は運搬業者などに「残土券」と呼ばれるチケットを販売し、10トンダンプ1台につき5000~8000円で残土を引き取っていたとみられる。業者は事前に購入した残土券とともに残土を引き渡し、男は自分の所有する土地などに盛り土を造成したとされる。
県は男に再三行政指導を行ってきたが、改善されず、昨年12月に県警が強制捜査に乗り出した。県警は男の自宅などから使用済みの残土券約7800枚を押収。ほかにも市内5か所で無許可の盛り土を繰り返し、総額4000万円以上の利益を上げていたとみて調べている。
男は、同市内に産業廃棄物を放置し、県の撤去命令に従わなかったとして、1月に廃棄物処理法違反(措置命令違反)容疑で逮捕された。甲府地検は1日、同容疑について処分保留とした。
男は1月に逮捕される前、読売新聞の取材に対し、「以前は金を払って土砂を購入していたが、建設残土の捨て場が不足してからは逆に金をもらえるようになった」と話していた。