近くの住民は西田真愛ちゃんの自宅裏付近から「開けて」という声を聞いていた=岡山市北区で2022年2月9日午後4時56分、戸田紗友莉撮影
岡山市で当時5歳だった西田真愛(まお)ちゃんが虐待を受け、その後死亡した事件で、逮捕された母親の交際相手が事件の1年前、「しつけ」と称して真愛ちゃんを目隠しをして裸で家から連れ出し、墓地で立たせていたことが児童相談所などへの取材で判明した。児相はこの事案の後にも虐待を「軽度」とする評価を変えていなかった。
逮捕されたのは母親の西田彩容疑者(34)と交際相手の船橋誠二容疑者(38)。2021年9月10~23日、西田容疑者宅で真愛ちゃんに殴るなどの暴行を加えた上、空の両手鍋の中に長時間立たせたり、裸で扇風機の風を当て続けたりした疑いが持たれている。真愛ちゃんは同25日、病院に搬送されたが脳死状態となり、翌年1月に死亡した。死亡時は6歳だった。
児相によると、事件より1年前の20年9月、船橋容疑者が真愛ちゃんに目隠しをつけ、裸のまま車で連れ出した。西田容疑者も一緒だった。墓地に立たされ、叱責されているのを見た通行人が110番。県警が出動し、児相が一時保護した。
児相に対し、船橋容疑者は「(真愛ちゃんが)風呂で騒いだため、しつけをした」と説明。船橋容疑者らが反省していたことなどから、児相は14日間で保護を解除し、同年10月に真愛ちゃんを西田容疑者に引き渡した。その後、事件までの1年間で児相は船橋容疑者と直接面談できず、電話で1回話しただけだったという。
真愛ちゃんに対する虐待をうかがわせる通告は19年から複数回あったが、児相は「日常的な暴力が認められない」として虐待レベルを「軽度」と判断し、その後も評価を変えていなかった。【松室花実】