人気YouTuberの弟・ヤンさん(左)と兄・サワさん
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ウクライナ出身の人気兄弟ユーチューバー「SAWAYAN」の兄・サワさん(26)が25日、スポーツ報知の取材に応じ、胸中を語った。YouTubeチャンネル「SAWAYAN GAMES/サワヤンゲームズ」が登録者数109万人を誇るサワさんは「正直、気が気でない。信じられない状態が続き、ショックです」と憂慮。首都・キエフにいる父親らを思いやった。(坂口 愛澄)
4歳までウクライナで育ち、父親の仕事の関係で来日したサワさん。現在、ウクライナの首都・キエフには父親が在住していることもあり、ニュースやSNSから目が離せない状況が続いている。
「ずっと状況を追っています。国民総動員令も発令され、父親がウクライナにいるので、ショックが大きいです」
父やいとこらは、キエフから離れた地域に避難。弟・ヤンさん(20)の元にはLINEでメッセージが頻繁に届いているようで、その内容から深刻さがうかがえるという。
「武器を売っている店では拳銃などが売り切れているようで、国民も武装して自分の身は自分で守っている状況だそうです。父も『戦争が激化するようであれば自分もそこへ行き戦う』と言っています」
サワさんが「苦しくなったら、金銭的なことでもいつでも頼ってくれ」と父に伝えると「本当にありがとう。何もないことをとにかく願っている」と返信があったという。
ITの先進国であるウクライナは、本来は町並みも美しく、文化も長い歴史を持ち、食に関しては数え切れないほどの絶品料理があるという。
「魅力ばかりなんです。友人を、ウクライナに連れて行くとご飯がおいしくて、だいたい5キロくらい太って帰る。おしゃれなレストランでも驚きの価格で楽しめますよ。挙げるとすれば『キエフカツレツ』とかですかね。500円くらいで食べられます」
「YouTuberとして発信し続けることが自分にできること」と話すサワさんは、つらい状況下に置かれても、投稿することはやめず、特に若者世代に対して問題意識を投げかけている。
「黙っていることは簡単。若い世代はこのニュースを見てもチャンネルを変えたり、興味を示さないと思うんですけど、ゲームをしながらまじめな話をすることによって、当事者意識を持って考えるきっかけになればと思っていて。一人ひとりの声がきっと何かが変わると信じています」
母国の国民、家族に向けて、言葉を選びながらメッセージを伝えた。
「いかなる理由であっても戦争はやってはいけない。いかにロシアの指導者の考え方を変える状況にすることが一番重要なのではないでしょうか。言葉をかけることもあつかましいけれど、どうか耐えてほしい」
取材後のこの日夜、サワさんは自身のYouTubeに動画を投稿。レースゲーム「マリオカート」をプレーしながら「僕の父親が、国民総動員令によって、戦争に行くことになりました。つらいどころの騒ぎではない」と報告。「僕にできることは、現状を伝えて、いかに戦争がひどいことか、今の若者に知ってもらうことしかない」と訴えた。
◆SAWAYAN 兄・サワ 1995年10月14日、ウクライナ生まれ。26歳。弟・ヤン 2001年5月14日、東京生まれ。20歳。兄弟ともに国学院久我山高、慶応大を卒業。YouTubeチャンネル「SAWAYAN GAMES/サワヤンゲームズ」を2020年に開設。ゲーム実況を主とし、格闘家・朝倉未来や、水溜まりボンドらの大物ユーチューバーと多数コラボしている。
報知新聞社