羽田空港の利用客を巡ってライバル関係にある東京モノレールと京浜急行電鉄が、拠点駅と周辺の再開発を進めている。羽田空港には2029年度、東京駅から直結する新路線をJR東日本が開業させる。新たなライバルの登場を前に両社は、駅の利便性を向上させるとともに、周辺の魅力をアップさせ、利用客の呼び込みを図ろうとしている。(越村格)
ライバル関係
(写真:読売新聞)
モノレールは1964年の東京五輪にあわせて開業した。当時は都心から羽田空港までのメインの公共交通機関として、空港利用客を一手に扱ってきた。ところが98年に、京急が空港ターミナルに乗り入れると状況は一変。両社は乗客獲得にしのぎを削るようになった。
国土交通省によると、京急の乗り入れ前は、利用客の7割がモノレールを使っていた。その後、京急が空港に乗り入れし、所要時間の短縮や直通電車の運行本数増などを図ると、利用者を徐々に増やし、2015年度以降、利用割合はモノレールを上回っている。
空港利用客の奪い合いは、今後さらに激しさを増す。JR東日本が29年度に開業を予定する「羽田空港アクセス線(仮称)」は、東京駅と羽田を最短18分で結ぶ。同駅が起点の東北、上越、北陸の各新幹線から空の便を急ぐ乗客にとっては、非常に使い勝手が良い。羽田空港の利用客を巡って、モノレール、京急との三つどもえの構図になる。
空港までの所要時間の短縮はモノレール、京急ともに限界に近く、コロナ禍による乗客減で運賃の引き下げも難しい。両社は拠点駅の「使い勝手」を向上させることで、新たな乗客獲得を目指している。
改札口集約
クレーンを使い解体が進む、浜松町駅前の世界貿易センタービル(6日午前、読売ヘリから)
モノレール始発の浜松町駅は開業当初から使われている。改札口が3階と2階にそれぞれあり、わかりにくかった。隣接する世界貿易センタービルなど駅周辺の再開発にあわせて、駅舎も昨年11月から建て替え工事が進められている。改札口を3階に集約し、ホームからエスカレーターで降りるだけでJRや地下鉄、長距離バスに乗り換えられるようになる。