
知床岬付近で行方不明者の捜索を行う北海道警のヘリコプター(28日午前、北海道斜里町で、読売ヘリから)=早坂洋祐撮影
北海道・知床半島の沖合で観光船が消息を絶った事故で28日、新たに死亡が確認された男性3人は、半島の西側から東側へ、約40キロを流された可能性がある。複雑な海流を読みながらの懸命の捜索が、4日ぶりの行方不明者の発見につながった。乗客乗員26人のうち、今なお12人の行方が分からない。

(写真:読売新聞)
「最後まであきらめず、捜索を見守りたい」。長女と孫の行方が分かっていない道内の男性(69)は、3人が見つかったことを複雑な思いで受け止めた。「日にちが過ぎるほど、生存の望みは絶たれていくのだろうが、こうして捜し続けてもらうことで、早く全員が見つかってほしい」
観光船「KAZU I(カズワン)」が遭難したとみられるのは、知床半島西側の斜里町にある「カシュニの滝」付近で、半島の先端の知床岬までは約15キロ。今回の3人のうち2人は岬付近から南南東に23・9キロ、もう1人は同23キロの海上で浮いているところを発見された。
半島周辺の海流は複雑なことで知られる。半島の西側は「宗谷暖流」が岸に沿って北東方向に流れ、岬から先は、そのまま北東に向かう本流と、半島を回り込むようにして南下する流れに枝分かれする。3人はこの南下する海流で流されたとみられる。

遺体が安置されている施設を訪れ、献花台の前で手をあわせる人たち(28日午前、北海道斜里町で)=佐々木紀明撮影
第1管区海上保安本部は、事故の発生直後にはカシュニの滝付近を中心に手がかりを探していたが、その後は徐々に捜索範囲を拡大。24日には、岬付近や岬の東の海上で計11人が見つかり、死亡が確認された。25日には、北方領土の国後島と知床半島との中間ラインを越えて捜索する可能性があるとして、海上保安庁は海難救助に関する国際的な協定に基づき、ロシア当局に捜索活動について伝達していた。
27日からは天候不良の影響で地元漁師による捜索を見合わせたほか、1管の巡視船なども通常より速度を落としての捜索が続いたが、29日以降は天候が回復し、捜索活動は再び本格化する見込みだ。協力する漁師たちからは「一人でも多くの人を見つけたい」との声が上がる。
半島の東側でも、羅臼町の観光船6事業者でつくる「知床羅臼観光船協議会」が、予定していた今季の営業運航開始を取りやめ、捜索に協力することを決めた。船体についても、高精度のソナーで水深約200メートルまで調査可能な測量船「天洋」が、早ければ29日にも捜索を始める。