高市早苗首相にとって初となる党首討論が11月26日午後に実施された。その中で、深刻な日中対立を招いた、いわゆる「台湾有事発言」について、首相はこれまでの“高市節”を封印し、「逃げ口上や責任転嫁に終始」(立憲民主党幹部)。その一方で、国民民主党や初登壇の参政党には「連携強化」を強調するなど、「敵と味方を峻別することで野党の分断を狙う戦略」(自民党幹部)が浮き彫りとなった。
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「日中危機」が深刻化しているにもかかわらず高止まりしている内閣支持率は、高市首相にとって「心の拠り所」(側近)。12月上旬に国会へ提出する今年度補正予算案に関しては、野党側の要求も大幅に取り入れることで、12月17日までの会期内の補正予算成立を確実にしたい考えとされる。
ただ、高市首相が主導する同予算案の「超大型化」は、焦眉の急である物価高対策や、財務省が求める「財政規律」への悪影響は必至とみられている。円安の急進行も含めて国内外の市場では、いわゆる“日本売り”による「トリプル安」の懸念も拡大しかねない。
そのため、自民党内では「野党分断が奏功して補正予算の会期内成立にこぎ着けたとしても、高止まりが解消されない米価だけでなく、すでに12月に想定されているさらなる生活物価の高騰で国民生活が脅かされれば、支持率急降下のリスクは避けられない」(自民党幹部)との見方も広がっている。
■「存立事態」肩透かし答弁に与党席も失笑
今回の党首討論は慣例どおり、立憲民主党の野田佳彦代表が28分、国民民主党の玉木雄一郎代表が8分、初登壇の斉藤鉄夫・公明党代表が6分、参政党の神谷宗幣代表が3分という時間配分で行われた。
トップバッターの野田氏はまず、「台湾有事での存立危機事態」答弁の是非について改めて高市首相の見解を聞いた。高市氏は「存立危機事態の認定、いかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府がすべての情報を総合して判断するということ。これは繰り返し答弁している」と述べ、「日本政府の統一見解というものは先程来答弁したとおり。それ以上でも以下でもない」と繰り返した。






