新型コロナウイルス感染症の後遺症に苦しむ人々の声が、後を絶ちません。味覚障害や倦怠感といった症状だけでなく、記憶障害や思考力の低下など、生活に深刻な影響を与える後遺症も報告されています。今回は、50代外科医の男性の体験談を通して、コロナ後遺症のリアルな現状をお伝えします。
コロナ感染、そして後遺症との闘い
2020年11月、首都圏の総合病院に勤務する50代外科医の男性は新型コロナウイルスに感染。高熱と肺炎の悪化により緊急入院し、生死の境をさまよいました。当時の肺のCT画像には、コロナ肺炎の特徴である「すりガラス状」の陰影がはっきりと写っています。
コロナ肺炎患者の肺CT画像
20日間の入院生活を経て、男性は無事に退院。しかし、待っていたのは以前とは全く異なる日常でした。
日常生活を蝕む後遺症
体力に自信のあった男性は、軽い家事でも息切れがするようになり、趣味の登山や水泳も続けられなくなりました。さらに深刻なのは、集中力の低下と短期記憶の障害です。
「スーパーに車で買い物に行き、戻ってきたら駐車場所を忘れてしまうんです。ついさっきの記憶が全く蘇らず、愕然としました」と男性は語ります。駐車場所をスマホで撮影したり、メモを取るなどの対策を講じているものの、症状は今も続いています。
男性を悩ませている短期記憶の低下や、思考が混濁する「ブレインフォグ」は、コロナ後遺症の代表的な症状です。
後遺症を隠す苦しみ
こうした後遺症に悩む人は少なくありません。しかし、仕事への影響を懸念し、周囲に打ち明けられないケースも多いのが現状です。「Long COVID」とも呼ばれるコロナ後遺症は世界的な問題となっており、報告されている症状は200種類以上にものぼります。
主なコロナ後遺症の症状
- 息切れ
- 記憶障害
- ブレインフォグ
- 疲労感・倦怠感
- 関節痛・筋肉痛
- 咳・喀痰
- 胸痛
- 脱毛
- 頭痛
- 抑うつ
- 嗅覚障害・味覚障害
- 動悸
- 腹痛
- 睡眠障害
- 筋力低下 など
専門家の見解
「コロナ後遺症のメカニズムはまだ解明されていない部分が多いですが、ウイルス感染による免疫系の異常や、微小血栓の形成などが関係していると考えられています。」と、コロナ後遺症専門クリニック院長、山田一郎医師(仮名)は指摘します。「後遺症の症状は多岐にわたり、個人差も大きいため、症状に合わせた適切な治療が必要です。」
コロナ後遺症との向き合い方
コロナ後遺症は長期にわたる場合もあり、患者にとって大きな負担となります。周囲の理解とサポート、そして適切な医療機関への相談が重要です。
この記事が、コロナ後遺症の実態を知るきっかけとなり、苦しむ人々への支援につながることを願っています。