「届くのは粗悪品」謎の通販サイト◆SNSで拡散、発送元を追跡取材【時事ドットコム取材班】

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「届くのは粗悪品」謎の通販サイト◆SNSで拡散、発送元を追跡取材【時事ドットコム取材班】

ツイッターで拡散されていた「富士山グラス」の通販サイト(写真左)と、実際に届いたグラス

偽富士山グラスの通販サイトの会社概要(一部加工)

◆暗転した「富士山の日」

 「ツイッターを見て『富士山グラス』を買ったが、偽物ではないか」。東京都江戸川区にある伝統工芸品、江戸硝子(がらす)の窯元「田島硝子」には、2022年2月23日の「富士山の日」を境に、こうした問い合わせが殺到するようになった。3代目社長の田島大輔さんがツイッター上を調べると、複数の通販サイトが「工場が倒産してしまったため、在庫一掃セール進行中です」などとする虚偽の宣伝ツイートを拡散していることが判明。どのサイトとも一切取引がないのに、商品ページには正規品の写真や本社工場で働く従業員の動画などが掲載されていた。

 富士山型に盛り上がった底部が注いだ飲み物の色に染まる富士山グラスは、国内外で約60万個を売り上げた田島硝子の大ヒット商品だ。これまでも偽物が出回ったことはあったが、田島社長は「うその宣伝までして偽物を売るなんて、ここまで悪質な手口は初めて。怒ってうちに電話をかけてくる被害者も多く、対応で業務に支障が出ている」とため息をついた。

◆記者が購入、届いたものは…

 粗悪品通販の実態を調べるため、記者は不審な通販サイトの一つを通じ、事前に「富士山グラス」を購入していた。本物の富士山グラスは通常7000円前後だが、このサイトでは3990円。複数購入すればさらに値引きすると書かれており、レビュー欄には日本人らしき名前で「きれいなグラスです」「本当に使い勝手がいいです」などと高く評価するコメントが並んでいた。

 3月11日に購入手続きを済ませたが、サイト側からはしばらく連絡がなく、ようやく小包が到着したのは4月4日。小さな段ボール箱を開けると、中に入っていたのは緩衝材のシートに直接包まれたグラスだけだった。本物は木箱に納められており、田島硝子の証明書や商品説明のしおりなども同封されているはずだが、小包の中には、証明書どころか業者名や問い合わせ先を記載した納品書すら入っていなかった。

 届いたグラスは飲み口が分厚く、底部の富士山の部分に欠けがあるなど、本物と並べると違いは明らか。手に取った田島社長は明かりに透かすように眺め、「溶かしたガラスを型に流し込んで作った時に生じる独特の『ぎらつき』がある。サイト上では職人の手作りとうたっているが、機械を使った大量生産品だろう。原価はせいぜい数十円程度だと思う」と話した。

◆「1000円なら返金」

 SNS上では、このサイトに限らず、ツイッターやインスタグラム、ユーチューブなどで宣伝していた通販サイトから「粗悪品が届いた」とする投稿が多数確認できる。

 埼玉県内に住む自営業の30代女性は5880円のコートを購入した。ツイッターで見た広告写真には高級感があったが、届いたのは、ほつれが目立ち、とても外で着れないような品質のもの。サイトには返品無料と書かれていたものの、メールを送ると「1000円なら返金する」とたどたどしい日本語で返信があったという。最終的に2000円を取り戻すことができたが、女性は「実質的には泣き寝入り。宣伝を許しているSNS側にも責任があるのではないか」と憤った。

 群馬県の30代男性は、型枠工の現場作業で使う安全靴を2足注文したが、届いたのは「ぺしゃんこのサンダルのようなもの」。触ると塗料が手に付くほどで、サイト側に返金を求めると、「2000円なら返す」と返答があった。粘り強く交渉すると、中国人らしき名義の個人口座から全額が振り込まれたが、男性は「他にも被害者はたくさんいるのでは。詐欺業者として逮捕されないと納得がいかない」と不満をあらわにした。

◆「会社概要」に共通点

 粗悪品報告のあった通販サイトはそれぞれ名前やデザインが異なり、一見、別々のサイトに見える。だが、サイトの特徴を詳しく調べると、類似点がいくつも見つかった。

 (1)サイト名は意味のないアルファベットの羅列(2)大幅な値引き価格が掲げられ、複数購入するとさらに安くなる(3)「×××が○分前に購入」「残り○点」などのメッセージが頻繁に表示される(4)口コミ欄には日本人らしき名前で高評価のコメントばかり並んでいる(5)文章の一部に中国語で使われる簡体字やフォントが混じっている(6)SNSなどで宣伝された後、短期間でサイトにアクセスできなくなることが多いーなどだ。

 記者が着目したのは、商品ページにリンクされている「会社概要」や「利用規約」の文章がどのサイトも似通っており、一部のサイトでは問い合わせ先のメールアドレスまで同じだったことだ。

 会社概要には「流行のアイテムが何でも手に入るファストファッション通販サイト」「プロなEコマースチーム」「顧客起点で品質を追求」といった独特のフレーズが使われており、大手検索サイトでこうしたフレーズを検索すると、既に閉鎖された通販サイトが大量に表示される。

 また、サイトの設計書に当たる「ソースファイル」を調べたところ、「×××が○分前に購入」「残り○点」といったメッセージは、あらかじめ用意された文章が順番に表示される仕組みだったことも分かった。

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