
観光船沈没事故の行方不明者を捜索するため、知床岬の方角に向かう北海道警の警備艇「いしかり」=北海道斜里町のウトロ漁港で2022年5月6日午前6時4分、宮武祐希撮影
北海道・知床半島沖で乗客乗員計26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ」(カズワン)が沈没した事故は、7日で事故発生から2週間となる。26人のうち、6日夜までに見つかっている14人はいずれも死亡が確認され、3~78歳の男性10人と女性4人の身元が公表された。このうち13人は道外の9都府県から訪れていた。
【写真】被害者らが発見された場所
26人のうち乗員は豊田徳幸船長と甲板員で、ともに行方が分かっていない。残る24人が乗客で、このうち身元が分かった14人の居住地は、北海道北見市1人▽福島県会津若松市1人▽千葉県松戸市1人▽東京都北区1人▽同葛飾区2人▽岐阜県多治見市1人▽大阪市西区1人▽兵庫県小野市2人▽香川県丸亀市1人▽福岡県筑後市1人▽佐賀県有田町2人――であることが第1管区海上保安本部や関係者への取材で明らかになった。
また、乗客24人のうち親子や知人の3人で乗船したグループは3組、家族や知人など2人で来ていたのが5組とみられることも取材から判明した。他の5人は一人旅や出張のついでに一人で訪れた可能性がある。グループで乗船したとみられる計8組のうち、事故後グループ全員が見つかっているのは1組にとどまる。
1管はこれまで、行方不明の乗客10人については詳しい属性を明らかにしていないが、取材によると10歳未満~70代の男女で、福岡県などから来ていたとみられる。
6日も事故現場周辺やロシアと調整がついた国後島周辺海域などで船舶や航空機による行方不明者の捜索は続いた。1管と海上自衛隊の水中カメラで改めて海底のカズワン船内の捜索も試みているが、「新たな行方不明者の手がかりはつかめていない」としている。
1管はまた、海難事故調査の専門技術を持つ民間業者「日本サルヴェージ」の調査船「新日丸」が7日午後、網走港に入港することを明らかにした。今月中にも、精度の高い水中カメラでカズワン船内の調査を行う方針。【遠山和宏、国本愛、竹田直人】