北海道標津町の上空から望む国後島の爺爺岳(左)。右奥は択捉島=本社機「希望」から
ロシアが実効支配する北方領土・国後島の海岸に今月、女性の遺体が漂着していたことが13日、関係者への取材で判明した。政府もこの事実を把握しており、北海道・知床半島沖で乗客乗員計26人が乗る観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故の被害者の可能性もあるとみて、外交ルートを通じロシア側に情報提供を求めている。
【女性の遺体が見つかった場所】
関係者によると、女性の遺体が見つかったのは7日早朝。国後島南部に位置するニキショロ湖の西側の海岸に打ち上げられていたという。黒いシャツとジーンズ、茶色いベルトを着けていた。身元確認につながる所持品はなかったという。
国後島内で失踪者の届け出がなく、今回の事故が4月23日に発生していたこともあり、島内のロシア人住民から北海道根室市の関係者に連絡があった。現地の捜査当局は日本人の可能性があるとみて外交ルートを通じ行方不明者の特徴を日本側に問い合わせており、特徴が一致すれば引き渡す意向を示している。
今回の事故ではこれまでに乗客14人が見つかり、いずれも死亡が確認されている。うち4人は、知床半島から国後島側の海域で発見された。14人は4月28日までに見つかり、海上保安庁などは以後も連日捜索を続けているが、5月13日朝までに行方不明者の新たな発見に至っていない。【本間浩昭、木下翔太郎】