作業台船に引き揚げられ網走港に到着した観光船「KAZU I」。ブルーシートをかけられ、ところどころ木の板で塞がれていた(27日午後2時42分、北海道網走市で)=佐々木紀明撮影
北海道・知床半島沖で乗客乗員26人を乗せた観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、カズワンの船体を載せた作業台船が27日午後、北海道網走市の網走港に到着した。第1管区海上保安本部などが船内の捜索と事故原因の解明を本格化させる一方、国は船体を乗船者の家族らに公開する方向で検討している。
【動画】「カズワン」網走港に到着、2日ほど水抜き後に陸揚げへ
えい航中に斜里町ウトロ漁港沖約11キロの水深182メートルの海底に落下したカズワンは、27日午前3時20分頃、台船の甲板上に引き揚げられた。台船は午後2時45分頃、約50キロ離れた網走港に着いた。
船体は前方の窓が破損し、板のようなものでふさがれていた。船首部分の手すりは落下時に外れたとみられるが、1管は捜査には影響ないとしている。
船体について、乗船者家族から公開を望む声があり、磯崎仁彦官房副長官は27日の記者会見で、「ご家族の気持ちに寄り添い、なるべく早い時期に対応できるよう検討している」と述べた。
これまでの船内の潜水調査では細部を調べ切れていないため、1管は水抜き作業を進めながら、台船上で行方不明者12人の捜索を始め、船体の損傷具合や計器類の記録などを詳しく調べた後、陸揚げする方針だ。
斜里町ウトロの現地対策本部によると、船内では携帯電話やカメラ、タブレット端末が見つかっている。事故当時の画像や映像が残っていれば、沈没時間や航路の特定につながる可能性があり、分析を進める。
1管は27日、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)の桂田精一社長(58)から任意で事情を聞いた。業務上過失致死容疑での捜査を続ける。