フランスのエネ大手、ロシアでの合弁解消 露軍機の燃料に利用疑惑


フランスのエネ大手、ロシアでの合弁解消 露軍機の燃料に利用疑惑

ガソリンスタンドに掲げられた仏エネルギー大手トタルエナジーズの看板=仏西部ナントで2022年6月30日、ロイター

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 トタルは49%出資する合弁会社テルネフテガスの株式を9月をめどに、現在51%を保有するノバテクへ売却する。トタルの発表によると、7月18日にノバテクと株式売却で合意し、8月25日にロシア当局に認可されたという。

 テルネフテガスを巡っては、ルモンド紙(電子版)が24日、金融情報会社「リフィニティブ」などの協力を得て、テルネフテガスがロシアのシベリア地方で採掘したコンデンセートが、ロシア国内でジェット燃料に精製され、ロシア軍に供給されているとする調査結果を報道した。

 同紙によると、ロシア軍への燃料供給は、2月のウクライナ侵攻直前から始まり、ウクライナに近いロシア空軍基地2カ所に渡っていたという。両基地には、3月に多数の死者を出したウクライナ南東部マリウポリの劇場空爆に使われた戦闘機が配備されている可能性があると指摘している。

 ロシアによるウクライナ侵攻後、シェル、BPなどエネルギー大手がロシア国内から撤退する中、トタルは事業を継続している。トタルは4~6月期決算で前年同期比2・6倍となる57億ドル(約7840億円)の最終(当期)利益を上げており、左派の政治家や環境保護団体などから道義的責任を問う声が上がっている。

 トタルは24日、ルモンドの報道に対する反論文を発表した。テルネフテガスは筆頭株主のノバテクが運営しており、トタルはその役割を担っていないと主張。テルネフテガスが採掘したコンデンセートは契約に基づき一括してノバテクに売却されており、トタルには売却後の情報も入らないし、コントロールもできないと、報道前にルモンドに説明したとしている。また、ウクライナ侵攻当初からロシアを非難し、雇用面などに配慮しながら徐々にロシアからの撤退を進めていると説明。報道の前から合弁事業解消の手続きに入っていた経緯も示している。

 クレモン・ボーヌ仏運輸相は25日、仏テレビで報道内容について「検証する必要がある」と述べた。

 トタルは8月3日、北極圏のハリャガ油田の権益をロシア企業に譲渡する手続きを完了。19・4%出資するノバテク株はそのまま保有し、ロシア北部ヤマルでの液化天然ガス(LNG)事業などは継続する。【ブリュッセル宮川裕章】



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