ロシア軍の攻撃で破壊された家の前に立つ人々=ウクライナのミコライウ州で、2022年8月29日、ロイター
ウクライナ軍の報道官は29日、ロシア軍が占領している南部地域の奪還に向けて、本格的な攻撃を開始したと発表した。ヘルソン州を含む複数の方面で作戦を開始したとしている。米CNNテレビは、軍関係者の話として、ウクライナ軍がヘルソン市近郊の4つの村を奪還したと報じている。
ウクライナ軍はこれまで、欧米から供与された高精度の長距離砲などで露軍の拠点を破壊してきた。報道官によると、過去1週間で露軍の10以上の弾薬庫を破壊し、露軍を「弱体化させた」ことが、攻撃を始めた背景にあるという。ただし、報道官は南部の露軍は依然として「力を保っている」とも述べ、占領地の奪還が簡単ではないことも示唆した。
ロイター通信によると、露国防省は同日の声明で、ウクライナ軍がヘルソン州とミコライウ州で攻撃を計画しているが、「惨めな結果に終わるだろう」としている。
ヘルソン州を巡っては、ウクライナ軍が7月中旬以降、露軍が兵器や弾薬の補給路として使用しているドニエプル川にかかる橋への攻撃を繰り返してきた。これに対し、露軍は同州で兵士を増員し、防御を強化しているとされる。
一方、ウクライナ当局は29日、ミコライウ州の住宅などが露軍に砲撃され、2人が死亡、24人が負傷したと発表した。【エルサレム三木幸治】