【パリ=三井美奈】ウクライナ侵攻に加わったロシア軍兵士が8月末、フランスに逃れた。兵士はソーシャルメディアで戦争に反対する手記を公表した後、ロシア当局に処罰される可能性があるため、姿を消していたが、4日になって仏国営テレビに出演した。
この兵士は、パベル・フィラティエフさん(34)。8月末、パリ郊外の空港で、ロシアのパスポートや軍の身分証をトイレの便器に破り捨てる様子を動画で公開した。クリミア半島を拠点とする第56親衛空挺強襲旅団に所属し、4月にウクライナ従軍中に負傷。クリミアで治療中に手記をまとめ、8月にロシア軍が略奪を行っていたことなどを公表した。
仏国営テレビでは、ロシア軍がウクライナで民間人を多数殺害した実態を語った。「かつて私は冷酷だったが、こんなことは受け入れられなくなった」「村を丸ごと崩壊させ、根絶やしにした」と述べた。また、ロシア軍では士気が低下し、従軍を拒否する兵士もいると指摘した。
手記公表により、フィラティエフさんはロシアに帰国すれば、「偽情報を流布した」として禁錮15年の刑が科される恐れがあるといい、近くフランスに亡命申請する予定だという。