米空軍、チーミングが可能な無人戦闘機の競争試作を2024年に開始か

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有人戦闘機とエアチーミングが可能な無人戦闘機について米空軍のケンドール長官は「2024年に競争試作を開始する可能性がある」と述べ、これまで謎に包まれていた無人戦闘機の実用化についての大まかなロードマップを披露した。

無人戦闘機の開発プログラムに国際的なパートナーが貢献する方法を提供すると明かしたケンドール長官

有人戦闘機とエアチーミングが可能で攻撃、偵察・監視、電子戦、囮といった任務を実行できる無人航空機のことを無人戦闘機、UCAV、ロイヤル・ウィングマン、ドローン・ウィングマン、有人・無人チーミングなどと呼んでいるが、今のところ正式な固有名称は定まっていない。

米空軍、チーミングが可能な無人戦闘機の競争試作を2024年に開始か

出典:米空軍研究所

この無人戦闘機についてケンドール米空軍長官は「2024年に競争試作を開始する可能性がある」と述べて注目を集めており、これまで謎に包まれていた無人戦闘機の実用化についての大まかなロードマップを披露した。

米国では空軍が進めるスカイボーグ・プログラム、空軍研究所とKratosが共同で進めるOBSSプログラム、米海軍が進めるF/A-XXの構成要素、米国防高等研究計画局がNorthrop GrummanやGeneral Atomicsと共同で進めるLongShotプログラムに加え、Lockheed MartinやBoeingといった企業も独自にエアチーミングが可能な無人戦闘機を開発中で、全てのプログラムが微妙に関連してくるものの説明がややこしいので以下の説明は簡易的なものだと思って欲しい。

米空軍、チーミングが可能な無人戦闘機の競争試作を2024年に開始か

出典:ノースロップ・グラマン

ケンドール長官の説明によれば空軍が進めるスカイボーグ・プログラムは「飽くまで技術要素の検証」に過ぎず、この結果に基いてF-35Aや第4世代戦闘機とエアチーミングが可能な無人戦闘機のコンペ=競争試作を2024年に開始する可能性があり、このコンペに必要な要求要件を検討している最中で「有人機1機に対して5機の無人戦闘機が並走し、パイロットの限られた指示に従い攻撃、偵察・監視、電子戦、囮といった任務を担当できる機体を想定している」と述べている。

さらに無人戦闘機は損耗することが前提なので「調達コストが最も重要だ」と主張し、有人戦闘機を無人化したものが無人戦闘機になるのではなく、有人戦闘機に必要とされるサブシステムを必要な性能に絞ることでコストを抑えたものが「無人戦闘機の理想像」で、希望する調達コストについても「大量調達で手頃な価格を実現しなければならない」と付け加えているのが、このプログラムへの国際的なパートナーの参加についても言及しているのが興味深い点だ。

米空軍、チーミングが可能な無人戦闘機の競争試作を2024年に開始か

出典:Boeing Australia

ケンドール長官は「次世代戦闘機プログラム(Next Generation Air Dominance/NGAD)の構成要素である無人戦闘機の開発プログラムに国際的なパートナーが貢献する方法を提供できる」と述べ、英国、オーストラリア、日本などのカウンターパートナーと同プログラムに関する予備協議を行い「多くの関心を集めた」と述べているが、無人戦闘機を国際開発するのかどうかについては言及していない。

因みにケンドール長官は依然「NGADの構成要素にMQ-28Aを採用できないか予備的な協議が進められている」と明かしていたが、無人戦闘機を作戦レベルで有人戦闘機に統合するのは前例がなく「コンペ前にMQ-28Aを使用してテストしておくほうが無難だ」と述べており、コンペにもMQ-28Aもしくは派生型が参加することになるかもしれないと述べている。

どちらかというと米空軍が考えている無人戦闘機の概念はロイヤル・ウィングマンではなく分散チームに近い

上記の話を整理すると米空軍が進める無人戦闘機の開発プログラムはNGADの構成要素だが、2024年に実施されるコンペは「F-35Aや第4世代戦闘機とエアチーミングが可能な無人戦闘機」の開発を指しており、これをこのままNGADの構成要素として採用するのかは不明だ。

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そもそも米空軍は有人戦闘機とエアチーミングを行う無人戦闘機を1種類に限定しておらず、Lockheed Martinは独自にロイヤル・ウィングマンの概念を否定して「多層レイヤーで構築されたDistributed Team(分散チーム)」の概念を発表しており、米空軍が考えている無人戦闘機の概念はロイヤル・ウィングマンではなく分散チームに近い。

まだふわふわした話だが、2024年にF-35Aや第4世代戦闘機向けの競争試作を開始するということはNGADより実用化が早いという意味で、無人戦闘機とのエアチーミングは第4世代機にも必須の機能になるだろう。

おまけ

Lockheed MartinはF-16Vを開発する資金を「対外有償軍事援助(FMS)」経由で台湾から調達、米空軍は開発資金を出すことなくF-16Vで開発された技術の恩恵=F-16C/Dのアップグレードを行うことが出来たため、米空軍は防衛装備品の国際開発についてFMSの活用を提唱している。

米空軍、チーミングが可能な無人戦闘機の競争試作を2024年に開始か

出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Sarah M. McClanahan

つまりケンドール長官が「無人戦闘機の開発プログラムに国際的なパートナーが貢献する方法を提供できる」と述べたのは、従来方式の利害調整(参加国間で出資やワークシェアの比率、開発した技術に関する権利など)に時間がかかる国際開発ではなく、FMSを通じて開発プログラムに貢献できる方法を提供するという意味かもしれない。

台湾は資金を出しただけでF-16Vの開発には関与しておらず、その見返りにLockheed Martinは「F-16Vの受注に応じて台湾側に配当を支払うことになっている」と言われており、FMS経由で無人戦闘機の開発プログラムに出資すれば受注に応じて配当を受け取ることが出来るが、仕様や開発作業はもちろん開発した技術に対する権利もないという話だ。

この方式が今後メジャーになっていくのかは不明だが、米空軍は防衛装備品の国際開発について「FMSの活用」に目をつけていることだけは確かなので、ケンドール長官の発言は中々興味深いものがある。

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※アイキャッチ画像の出典:USAF Air Force Research Laboratory AFRLが作成したスカイボーグ・プログラムのイメージ

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