サウジ皇太子は女王葬儀に出席しない見通し=報道
8日に亡くなったイギリスの女王エリザベス2世の国葬を19日に控えて、英外務省の消息筋は、招待されていたサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が出席しない見通しだと明らかにした。ロイター通信が18日、伝えた。サウジアラビアを事実上支配する皇太子への招待については、人権団体などから抗議が出ていた。
報道はイギリス外務省関係者の話として、女王の国葬に出席するにはサウジアラビア王室のトルキ・アル・ファイサル王子になる見通しと伝えた。出席者の変更は、サウジアラビア政府が決めたことという。
在ロンドンのサウジアラビア大使館筋はこれに先立ち、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が今週末にロンドンを訪れる予定だと認めていた。
エリザベス女王の葬儀にムハンマド・ビン・サルマン皇太子を招待したことについて、複数の人権団体が、サウジアラビア政府による数々の深刻な人権侵害を「なかったことにする」ものだと批判している。
皇太子をめぐっては、サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショジ氏の殺害と遺体の切断を許可したと、米中央情報局(CIA)が報告書で結論づけた。同氏は2018年にトルコ・イスタンブールのサウジ領事館内で殺された。
皇太子とサウジアラビア政府は殺害への関与を否定している。しかし、皇太子は西側諸国の間でのけ者のような存在になっており、イギリスも訪れていない。
国葬には、イギリスが外交関係を持つすべての国の首脳らが招待されるのが慣例。中国の習近平国家主席も招待者リストに載っていた。中国外務省は17日、王岐山国家副主席が女王の国葬に参列すると発表した。
中国首脳の招待についても、中国・新彊ウイグル自治区でのイスラム教徒のウイグル族への扱いをめぐり、イギリス国内で批判の声が出ている。一部の下院議員はこれまでに、中国によるウイグル族の扱いを非難したため、中国政府の制裁対象になっている。
シリア、ヴェネズエラ、アフガニスタン、ミャンマー、ロシア、ベラルーシは、招待を受けていない。イラン、北朝鮮、ニカラグアは、上級の外交官だけを送るよう要請されている。
(英語記事 Saudi Crown Prince not expected at Queen’s funeral)
(c) BBC News