【安倍政権考】失策追及は必ずしも野党の支持率アップにつながらない


 主要野党は夏の参院選をにらみ、95歳まで生きるには夫婦で2千万円が必要とした金融庁の報告書問題などへの追及を強めている。政府・与党にダメージを与え、選挙戦を有利に進める狙いがあるが、過去の世論調査を分析すると、政権のスキャンダルや失策への批判が、必ずしも野党の政党支持率アップにはつながらない現実が浮かび上がる。

「老後資金2千万」追及も立民の支持下落

 産経新聞とフジニュースネットワーク(FNN)が15、16両日に実施した合同世論調査で、内閣支持率は47・3%、自民党支持率は35・9%だった。それぞれ前回比で3・4ポイント、5・1ポイントの減少だ。金融庁の報告書問題が影響したとみられ、政府・与党には気がかりな結果だろう。

 一方、報告書問題で政府追及を強める野党の支持率はどうかといえば、第一党の立憲民主党は前月比0・6ポイント減の6・8%と、下落傾向に歯止めはかからなかった。

 政府・与党がスキャンダルや不人気施策で国民の批判を浴び、支持を減らしているにも関わらず、政権批判の先頭に立つ野党の支持がいっこうに伸びず、国民は冷めた視線を注ぐだけ-。近年、そんな光景が定着しつつある。

 それは世論調査のデータからも明らかだ。平成24年末に第2次安倍晋三政権が発足して以降、合同世論調査で内閣支持率ないし自民党支持率が5ポイント以上低下したことは計11回あった。そのうち8回で、当時の野党第一党(民主、民進、立憲民主)は支持率を伸ばすどころか、むしろ減らしていた=表参照。

 時系列で見ていこう。平成25年に安倍内閣は支持率の大きな下落を2回(10月6・6ポイント、12月9・3ポイント)経験した。「悪夢のような」(安倍晋三首相)旧民主党政権が終わった反動が一段落したほか、首相が同年10月、消費税率を5%から8%に上げる判断を示したことが大きい。

 この際、民主党の支持率はともに微減で、5%台に低迷していた。政権担当時の失政が、なお国民の記憶に新しかったといえる。

 ところが、政府の失点が野党の得点にならない状況は、その後も続く。

自民の下落分は無党派層へ

 27年は5月以降、集団的自衛権の限定的行使を可能とする安全保障関連法の国会審議が最大のトピックだった。民主、共産各党などは国会周辺に詰めかけたデモ隊とタッグを組み、法案の成立阻止へ激しい政府批判を繰り広げた。

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