24日、モスクワで行われた部分的動員の発令に対する抗議デモで、参加者を拘束する警察官=AP
ロシア政府が、ウクライナ侵略への部分的動員を発令したことに抗議するデモは、24日も各地で行われた。「反戦」の波は収束しておらず、プーチン政権は、兵員が戦闘参加を拒否もしくは投降した場合の罰則を引き上げ、統制強化を図っている。
露独立系人権団体の発表によると、24日にはモスクワや極東、シベリアなどで抗議デモが行われ、35都市で800人以上が拘束された。第2の都市サンクトペテルブルクでは、治安当局がスタンガンを使用したとの情報もある。
部分的動員が発令された21日に各地で行われたデモに比べ、拘束者は減った。デモ参加者が拘束後に招集令状を渡されたと伝えられ、男性の間に警戒感が広がっている可能性がある。露独立系人権団体などによると、戦争に反対する女性団体がデモ参加を呼びかけ、多数の女性が拘束されたという。
英BBCによると、露中部バシコルトスタン共和国では、政権与党の事務所前で車のタイヤに火を付け扉の一部が焼けた。抗議によるものとみられ、徴兵事務所に火炎瓶を投げ込む事案も続いているという。
独立系メディアは24日、露南部の北オセチア共和国では、隣接する旧ソ連構成国ジョージアに渡航するため約2300台の車が国境に押し寄せていると報じた。
プーチン大統領は24日、兵員の罰則を強化する刑法改正案に署名した。軍事行動への参加拒否、無許可での部隊放棄、「自発的な投降」には最大10年の禁錮刑が科されることになった。改正案はプーチン政権与党の議員などが提案したもので、部分的動員が発令された21日に議会の承認手続きを終えていた。
24日、ロシアのサンクトペテルベルクで、動員令に抗議するデモ参加者を拘束する警察官=AP
部分的動員に関する大統領令でも、招集の契約は「動員令終了まで続く」との項目があり、一度招集されれば長期にわたり従軍する可能性がある。
部分的動員では強引な手法が用いられたり、政権が対象に挙げなかったはずの人々にも招集令状が渡されたりする事案が相次ぎ、批判を招く要因となっている。政権与党に所属する極東サハ共和国の首長は「誤って招集された者は、動員から引き戻されなければならない」と語った。
プーチン氏は24日、動員対象外となっていた学生に関し、「招集を猶予する」とする大統領令に署名した。プーチン政権は、国民の批判の高まりに神経をとがらせている模様だ。