【ワシントン】トランプ米大統領は1日、日米貿易交渉の合意に達するのは「疑わしい」との見解を示し、日本に対し「われわれが決める30%、35%といった関税を払ってもらう」と述べ、高い税率での課税を示唆した。多くの国に適用している「相互関税」のうち、日本を含む貿易相手国向けの上乗せ分について、7月9日を期限とする一時停止措置を延長することにも否定的な考えを明らかにした。
トランプ大統領、対日強硬姿勢を再確認
大統領専用機内で記者団の取材に応じたトランプ氏は、相互関税の上乗せ停止延長を「考えていない」と強調した。その上で「多くの国に書簡を送る」とし、期限までに合意に至らない相手国に対し、一方的な関税引き上げを通告する可能性に言及した。
日本との貿易交渉に関しては、「交渉がまとまるとは思えない。疑わしい」と重ねて表明。「日本はとても強硬だ」と指摘した。米国が抱える対日貿易赤字の巨額さを改めて批判し、特に自動車など主要品目に関し、日本からの輸入品に対し、30%や35%といった具体的な数字を挙げながら、高関税を課す意向を改めて明確にした。
大統領専用機内で日米貿易や関税について語るトランプ米大統領
日米間の閣僚協議を統括するベセント米財務長官も、1日のテレビ番組で対日交渉に触れ、「不公平であれば受け入れないようトランプ大統領から指示を受けている」と述べ、政権の強硬な姿勢を改めて示した。
トランプ氏が4月に発表した相互関税は、大半の国には一律10%を適用する一方、貿易赤字額などを考慮した国別の上乗せ分については、7月9日まで適用を停止していた措置。ベセント氏ら政権幹部は6月、この停止期限が延長される可能性を示唆していたが、トランプ氏の今回の発言は、その見通しを覆し、期限後の税率引き上げを強く示唆するものとなった。
難航続く日米貿易交渉の現状
直近の日米貿易協議は、赤沢亮正経済再生担当相が6月27、28日にワシントンで7回目の閣僚交渉を実施した。今回の協議でも、最大の懸案であり、日本の主要輸出品である日本車への25%の追加関税について、撤廃や見直しを強く求める日本側と、協議に応じない構えの米側との溝は依然として深く、交渉は難航が続いている。
ワシントンで行われた日米貿易交渉の様子
一方、トランプ氏は同日、インドとの貿易協議は近く合意に達する見通しだと述べるなど、相手国によって対応が異なる姿勢を示した。
今回のトランプ大統領の発言により、日米貿易交渉は期限が迫る中で一層厳しい状況に直面しており、日本からの輸入品に対する高関税賦課の可能性が高まった。今後の交渉の行方が注目される。