26日、ウクライナ東部ハルキウ州で、ロシア軍の占領中に破壊された建物(AFP時事)
【キーウ=上杉洋司】英国防省は26日、ロシアのプーチン政権が部分的動員で招集した部隊について、「最低限の備えで前線に配備される」との見方を示した。動員を急いだ結果、兵士の訓練などが十分に行われていないとみられ、ロシア軍の戦力増強につながらない可能性もある。
同省によると、露軍の兵士は米欧のような専用訓練施設ではなく、部隊内で初期訓練を受けるという。前線の兵士不足に加え、部隊内の教官不足も背景にあるとみられる。米政策研究機関「戦争研究所」も、部分的動員は非効率でロシア国内の社会的・政治的損失を高めると指摘し、「露軍の戦力補強になる可能性は決定的に低い」とした。
ロシアの国境周辺では動員逃れとみられる動きが広がっている。米CNNによると、ジョージアとの国境で25日、16キロ・メートル以上にわたる車列が確認された。フィンランドとの国境でも、フィンランドに入国するロシア人が殺到したという。
一方、AFP通信は26日、ウクライナ軍が露軍から奪還した東部ハルキウ州の一部で、新たな集団墓地とみられる場所が見つかったと報じた。当局関係者らによると、100体近い遺体が埋められている可能性があるという。同州では26日に露軍のミサイル攻撃があり、子供を含む7人が死亡した。ウクライナ当局は、南部オデーサ州でイラン製無人機(ドローン)を使った露軍の攻撃が、ここ数日で5回あったと明らかにした。